2000/2001シーズンの北半球用インフルエンザワクチン推奨株−WHO

1999年10月〜2000年2月にかけて、インフルエンザはアメリカ・アジア・ヨーロッパなどで中等度からかなり大規模な流行を呈した。この間南半球での発生は散発的であった。流行の主流は多くの国でA(H3N2)型であったが、香港、日本、スペインなどではA(H1N1)型の流行も見られた。B型もいくつかの国で報告されているが、いずれも小規模の発生にとどまっている。

フェレット血清による抗原分析では、A(H3N2)型の大多数はA/Moscow/10/99株とA/Panama/2007/99株に類似しているものであり、またこれらの多くはA/Sydney/5/97に類似するものであった。A(H1N1)型の多くはA/New Caledonia/20/99に類似するものであり、ついでA/Bayern/7/95に類似するものであった。B型はB/Beijing/184/93株とB/Yamanashi/166/98に類似する株が最も多く、B/Shangdong/7/97類似株の報告はない。

A/Sydney/5/97(H3N2)のワクチン接種を受けた成人および高齢者では、流行当初に分離されたA(H3N2)型株に対する抗体反応は良好であったが、最近になって分離されたA(H3N2)型株に対する抗体反応は低い。一方A/Beijing/262/95(H1N1)のワクチン接種を受けた成人および高齢者では、A/New Caledonia/20/99に対する抗体反応は低いものであった。B型は、B/Harbin/7/94またはB/Yamanashi/166/98(訳注:B/Beijing/184/93に類似)でワクチン接種を受けた成人および高齢者では、最近の分離株による抗体反応は良好であった。

これらの情報にもとづき、WHOは、北半球における2000年11月〜2001年にかけてのインフルエンザシーズンにおける不活化インフルエンザワクチン株として以下の3種類を推奨した。

A/Moscow/10/99(H3N2)類似株
(A/Panama/2007/99株は、A/Moscow/10/99(H3N2)類似株とみなす)
A/New Caledonia/20/99(H1N1)類似株
B/Beijing/184/93類似株
(ワクチン株として広く使用されているのはB/Yamanashi/166/98)

なおワクチン接種回数は、幼小児を除くすべての年齢に対して1回接種、これまでワクチン接種を受けていない小児に対しては、4週間以上の間隔で2回接種がすすめられる。

(WHO、 WER、 75、 No.8、 61、 2000)

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