大阪府下で発生したタイラギの貝柱が原因と考えられる腸炎ビブリオ食中毒について

1999年8月14日〜17日にかけての4日間に、大阪府下(東大阪市を含む)において輸入タイラギの貝柱が原因と考えられる腸炎ビブリオ食中毒14件(患者数110名)が集中的に発生した(表1)。これらの事例では、当該タイラギの貝柱を寿司や会席料理等として喫食後、おおむね翌日から腹痛、下痢、嘔吐、発熱等の症状を呈している。また追跡調査の結果、当該タイラギの貝柱が原因と考えられる食中毒は、大阪府域以外においても、表2のごとく、広範な地域で同時期に発生していることが判明した。

府下で発生したこれら事例に関連して検査に供された検体は患者便40検体、吐物1検体、ふきとり5検体、食品39検体であった。そのうち患者便21検体より腸炎ビブリオが検出されたが、他の食中毒菌は陰性であった。検出した腸炎ビブリオの血清型はO3:K6、O3:K57、O4:K13およびO11:K51(いずれもtdh +、trh -)であり、そのうちO3:K6型株が最も高い頻度(86%)で検出されている。また、食品検体に含まれていたタイラギの貝柱2検体中1検体より腸炎ビブリオO12:KUT(tdh -、trh -)を検出した。

なお、本件食中毒に関しては、輸入業者に対する回収命令ならびに関係施設に対する注意喚起通知等の行政措置がなされた結果、8月18日以降の発生はみられなかった。

大阪府立公衆衛生研究所
石橋正憲  塚本定三 浅尾 努 濱野米一 久米田裕子
依田知子 河合高生 川津健太郎 神吉政史 柴田忠良

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