ドイツの出血熱疑いの患者は黄熱と判明

ウイルス性出血熱の疑いがされていた、コートジボワールから帰国したドイツ人男性は1999年8月6日、培養とPCR の結果から黄熱と診断されたが、同日死亡した。男性は7月17日にドイツを出国してアビジャンに向かい、8月1日にドイツに帰国するまでの間ボウアクで2週間を過ごし、この期間中はコモエ国立公園のキャンプで野生動物を撮影していた。帰国後発症した男性は直ちに入院し、8月3日には隔離病棟のあるベルリンの病院に転院した。男性の臨床症状から熱帯性ウイルス性出血熱が疑われ、感染対策処置がとられた。ハンブルグのBernhard Nocht-Instituteにおいて、エボラ、ラッサ、デング、ハンタウイルスについて検査が行われたがすべて陰性であった。

防疫対策としては、帰途の飛行機内で男性が無症状であったことから人−人感染の危険は最小限であったと結論されており、帰国後彼と直接接触があったものについては専門家により調査が進行中である。

患者は当初黄熱の予防接種を受けていたと報告されていたが、彼の予防接種記録には黄熱ワクチンの接種記録はなく、発病早期の血清には黄熱ウイルスに対する抗体は検出されなかった。黄熱ワクチンは安全で有効性は非常に高い。予防効果は1週間以内に発現し、抗体獲得率は99%である。1回の接種で10年間有効とされるが、おそらく一生涯有効であろう。コートジボワールに入国する1歳以上のすべての旅行者には入国の際、黄熱の予防接種記録が必要であり、接種後10年間は有効である。この症例では不幸にして入国の際予防接種記録がチェックされていなかった。

この症例は黄熱感染の危険がある国々の郊外や野外地域を訪れる者にとって貴重な前例となった。また、出血熱の鑑別診断に黄熱も含まれるべきものなのである。この症例の要約は、今週ベルリンのRobert Koch-InstitutのEpidemiologisches Bulletinに掲載される。

(Eurosurveillance Weekly 、No.33、1999)

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