コクサッキーウイルスB1型とエコーウイルス25型の分離状況−新潟県

新潟県では、1999年に入り1998年には分離されなかったコクサッキーウイルスB1型(CB1 )とエコーウイルス25型(E25)を分離したのでその概要を報告する。

CB1 は2月に初めて分離され、7月に19株、現在31株(27名)が分離されている(表1)。臨床診断名別では無菌性髄膜炎15名、発疹症(ヘルパンギーナ含)4名、上気道炎(インフルエンザ様疾患含)6名およびその他2名から分離された。年齢は0〜16歳で、ほぼ新潟県下全域で分離されている。

E25は7月に14株(11名)が分離された(表1)。臨床診断名別では無菌性髄膜炎7名、発疹症(ヘルパンギーナ含)3名、その他1名から分離された。年齢は1〜8歳で、2名は新潟市保健所管内であったが、9名は長岡保健所(県央地域)管内であった。

CB1とE25は無菌性髄膜炎、発疹症(ヘルパンギーナ含)等の疾患から分離されており、両ウイルスの無菌性髄膜炎での流行が示唆される(表2)。また、E25が県央地域での流行であるのに対し、CB1は県下全域で流行している。

ウイルス分離にはCaCo-2、RD-18S、LLC-MK2、Vero、HeLa、HEp-2の各細胞を用い、中和試験にはデンカ生研の抗血清を用いた。

31検体から分離されたCB1はHEp-2で18株、CaCo-2でも18株が分離された。HEp-2単独で分離されたウイルスは6株、CaCo-2単独で分離されたウイルスは2株であった。また、LLC-MK2単独で3株、Vero単独で2株分離された。CB1の分離にはHEp-2が最も感受性が良かったが、CaCo-2、LLC-MK2およびVeroのみで分離される検体もあるので、複数の細胞を併用することで分離率の向上が見込まれる。

14検体から分離されたE25はCaCo-2ですべて分離され、次いでRD-18Sでの分離がよかった。E25の分離にはCaCo-2が有用である。

今後、無菌性髄膜炎を中心としてCB1とE25の動向に注目していきたい。

新潟県保健環境科学研究所
渡邉香奈子 高木るみ子 西川 眞 篠川 旦

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