急性弛緩性麻痺に関連したエンテロウイルス71型の流行−オーストラリア

1999年3月以来、西オーストラリア州のパースで6例の急性弛緩性麻痺(AFP)患者が認められた(3月2例、4月2例、5月1例、6月1例)。全例2歳未満の小児であった。4例の咽頭と糞便からエンテロウイルスが分離され、うち2例は中和試験でエンテロウイルス71型(EV71)と同定された。4例の糞便がメルボルンのポリオレファレンスセンターに送られ、2例はEV71感染が確定しポリオウイルス感染は否定されたが、残るAFP2例は保留となっている。6例中3例は発症後1〜2カ月で脱力の後遺症があり、1例は呼吸器を必要とする弛緩性麻痺が続いている。この他に、12例の無菌性髄膜炎患者からエンテロウイルスが分離されている(1例は髄液から、他は咽頭と糞便から)。これらの例は西オーストラリア州都のパースとその周辺地域の手足口病の大きな流行に関連して発生している。その他に1例のAFP がカルグーリで発生した。また、手足口病患者(合併症はなし)15例の皮膚病巣または咽頭ぬぐい液からエンテロウイルスが分離され、皮膚病巣からの4株中3株がEV71と確認された。EV71分離例はパースからマンドュラにかけて発生しており、EV71の活動が最近数カ月で拡大していることを示している。このウイルスの由来は不明である。東南アジアの最近のEV71の流行に由来する可能性があるが、パースの患者にみられた急性脊髄炎は東南アジアの流行における重症例に特徴的な脳幹脳炎とは明らかに異なる。パースのEV71分離株の分子疫学的研究は進行中である。

現段階で行っている公衆衛生上の対策は、公衆の注意を喚起するための広範なマスコミでの広報、すべての一般医と救急病院への情報提供が含まれる。さらに、州全体の保育施設に対し、衛生保持の重要性と手足口病の子供を登園・登所させないことを強調する情報が与えられた。

(Australia CDI、23、No.7、199、1999)

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