地方小都市および農村地帯に住む人々のHIV感染リスク、1995〜1996−米国南部

米国南部は1997年に報告されたエイズ患者641,086例の34%が住み、農村地帯に住むエイズ患者58,689例の54%を包含する地域である。HIV/AIDSサーベイランス補足プロジェクトとして18歳以上の患者に対して社会的背景、感染前の感染リスクの理解度、性行動などについてインタビューが行われている。1995〜96年にこの補足プロジェクトに参加している南部の4州(デラウエア、フロリダ、ジョージア、サウスカロライナ)の選択された小都市および農村地帯でおこなわれたインタビューの結果、感染前に危険認識が低かったことが判明したので報告する。

回答者のうち66%が男性で、年齢中位数は男性36歳(19〜75歳)、女性33歳(18〜67歳)であった。ほとんどは非スペイン系の黒人で、社会経済状態の低い層に属していた。性行動がほとんどの感染危険因子であり(男性67%、女性66%)、最も多い感染経路は男性では同性間性交渉が40%、女性では高危険あるいは感染した異性との性交渉が66%を占めた。

「HIVに感染したと判明する前に、あなたはHIVに自分が感染すると思っていましたか?」という質問に対し、男性の52%と女性の65%は感染しないと信じていたと答えた。その理由としてはHIVがどのように感染するか知らなかったというのが最も多く(男性33%、女性29%)、性交渉の相手が感染していないと思っていた(男性27%、女性35%)、静注薬物の使用者か男性同性愛者のみが感染すると思っていた(男性14%、女性21%)であった。

薬物やお金のために性交渉を行う、あるいは静注薬物濫用者と性交渉を持つ、薬物を静注する、クラックコカインの使用といった危険性の高い行動が男性においても女性においても多くみられた。これらの行動は男性においては農村地帯の住人よりも小都市の住人において多かったが、女性では地域的な差違は認められなかった。

(CDC、MMWR、47、No.45、974、1998)

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