世界のHIV/AIDS流行の現状

UNAIDSとWHOは、1998年末時点における世界の生存HIV感染者(AIDS患者を含む)が3,340万人であり、1年間で10%増加したと推計した。1998年の新規感染者は580万人で、うち59万人は子どもであると推計している。この値は、毎日1万6千人が新たに感染したに匹敵する。また、流行が始まってから1998年末までの累積HIV/AIDS死亡数は1,390万人となる見込みである。1998年の死亡数は250万人と推計されているが、このうち約5分の1が子どもであり、死亡した大人の45%が女性である。

地域別に見ると、1998年に新たに400万人が感染したサハラ以南のアフリカでは、15〜49歳の約8%が感染していると推計されている(世界全体では大人の人口の約1.1%が感染)。アジアでは、人口に占める感染者の割合はアフリカより低いものの感染者数は多く、南アジアおよび東南アジアに推計670万人のHIV感染者とAIDS患者が存在する。南米では、ほとんどが同性間性的接触と静脈薬物濫用による感染である。東ヨーロッパおよび中央アジアでは、1990年代初期に感染が拡大し始め、感染者の約30%はこの1年間に新たに感染したとされている。主として静脈薬物濫用による感染が急増している。

北米および西ヨーロッパでは、抗ウイルス剤の併用療法の普及による明らかなAIDS死亡数減少傾向が続いている。しかし、いずれの地域においても新規HIV感染者数は、過去10年間ほとんど変化していない。

(WHO、WER、73、 No.48、375、1998)

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