多種類の血清型によるデング流行、1998−プエルトリコ

デングは4種の血清型のウイルス(DEN-1、DEN-2、DEN-3、DEN-4)によって起こる急性ウイルス疾患であり、いずれの血清型も発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、発疹、悪心、嘔吐といった同様の症状を来たし、感染した血清型に特異的な終生免疫を残す。本稿は1998年のプエルトリコでの多種類の血清型によるデング流行のまとめである。

1998年1月1日〜8月29日までの間に9,803例のデング熱疑い例が報告された。それらのうち4,677例(48%)がウイルス学的あるいは血清学的にデングと確認され、526例(5.4%)は陰性、4,600例(47%)は確認不能であった。流行のピークでは報告症例数は過去5年間平均の6倍に達した。564株の分離ウイルスのうち、DEN-4(45%)とDEN-1(40%)が優勢で、DEN-2が12%、DEN-3が3%であった。

合計4,190例(43%)が入院、2,888例(30%)で出血症状の報告があったが、報告内容からデング出血熱と診断できるのは88例であった。デング出血熱は55〜59歳で最も高率に認められた。実験室診断で確認されている5例で死亡が報告されている。

プエルトリコでは、1985年〜1997年まで3つの血清型(DEN-1、2、4)が流行しており、DEN-3は20年間みられなかったが、1998年1〜8月の間に17例のDEN-3感染が報告され、12例が入院した。これらの患者は発症前5週間以内の海外渡航歴はなかった。プエルトリコ保健当局は1998年2月にDEN-3が2株分離されたことに対応して、蚊の繁殖の元となるすべての水が入った容器を始末し、サーベイランスを強化することを通知した。

(CDC、MMWR、47、No.44、952、1998)

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