レプトスピラ症、1998−米国・ウィスコンシン&イリノイ州

トライアスロン競技会の参加者の中にレプトスピラ症と思われる急性熱性疾患が発生した。1997年7月14日、マジソン市衛生部はウィスコンシン州衛生当局に対してトライアスロンに参加した3名の競技者が急性熱性疾患で入院したことを報告した。症状は発熱、筋肉痛、頭痛で、1例は急性腎不全を呈した。これらのうち2人はウィスコンシン州のマジソンで行われた競技会に、3人全員がイリノイ州のスプリングフィールドで行われた競技会に参加していた。州衛生当局はレプトスピラ症を疑い、2名の急性期血清をCDCで検査したところ、1名で抗レプトスピラIgMが陽性であった。

イリノイとウィスコンシン州の衛生当局、農務省とCDCは地域の衛生部と協力して、イリノイとウィスコンシンで行われたトライアスロンに関連した急性熱性疾患集団発生の調査を行った。競技参加者は44州と7カ国にわたっていた。電話によるサーベイに応じた、イリノイの競技会のみに参加した733人、ウィスコンシンのみに参加した370人、両方に参加した91人、合計1,194人から、110人(9%)の患者が見つかった。ウィスコンシンのみの参加者より、イリノイのみの参加者の方がより発症率が高く、入院を要した23例は全例イリノイに参加しており、ウィスコンシンのみの参加者の中では入院例はみられなかった。

イリノイに参加した患者90例から採取された血清70中30(43%)でELISAにより抗レプトスピラIgMが検出され、このうち24検体は顕微鏡的凝集でLeptospira serovars grippotyphosabratislavadjasimanに対して高力価の抗体が確認された。一方、ウィスコンシンのみの参加者血清70では陽性はなかった。培養ではどちらも陽性例はなかった。

7月24日、イリノイとスプリングフィールドの衛生当局は、スプリングフィールド湖で泳いだり、水上スキーなどをしないように注意をよびかけるとともに、付近住民の類似疾患の発生を調査したところ、228例の患者が見つかった。CDCは農務省、地域の衛生当局と協力して、新たな患者のサーベイとともに、今回の集団発生における感染ルートを解明し、対策を講じるために調査を継続している。

(CDC、MMWR、47、No.28、585& No.32、673、1998)

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