75歳以上の高齢者すべてを対象としたインフルエンザ予防接種−英国

英国政府は予防接種委員会の勧告を受けて、75歳以上の者すべてにインフルエンザ予防接種をすべきことを決定した。従来インフルエンザ予防接種は、年齢にかかわりなく、喘息を含む慢性呼吸器疾患・慢性腎疾患・慢性心疾患・糖尿病・免疫機能低下者・インフルエンザ流行地に長期に居住する者に対して推奨されていた。現在のところ、75歳以上で上記のようなインフルエンザ予防接種対象者となる者の45%、および上記ような適応ではないが75歳以上である者の約1/3がすでにインフルエンザワクチンの接種を受けている。この書簡では、これまで対象となっていたリスクグループの中でも特に若年者層で接種を受けていない者についても注意が促された。

これら高年齢層へのワクチン接種が医学的に正当に評価されたこと、またその経済的効果が示されたことが、今回の予防接種対象拡大の要因となった。ワクチン接種の機会については、プライマリーケアーの中だけではなく、入院継続者、退院間近な者、外来通院者なども含まれるべきであるとされている。

高齢者は特に呼吸器感染症に対して障害を受けやすい。1996年の調査では、肺炎による死亡54,137名の85%、インフルエンザによる死亡者179名の80%、慢性閉塞性肺疾患による死亡26,873名の61%が75歳以上であった。

(CDSC、CDR、8、No.34、297、1998)

今月の表紙へ戻る


IASRのホームページに戻る
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る