類鼻疽:台湾における新興致死感染症

類鼻疽はBurkholderia pseudomalleiによって起こる人畜共通感染症である。熱帯の国では致死的な感染症であるとともに、家畜が感染することによる経済的損失の問題も大きい。台湾においては新興感染症であるため臨床医はこの感染症に対する認識が低い。台湾では1982年に輸入例が1例、1994年に2例、1996年は微生物学的診断による10例が報告された。亜熱帯に位置する台湾では報告されたものより実際の感染例は多いと思われる。今後、臨床医のこの感染症に対する認識が高くなることにより報告が増加するであろう。台湾衛生部はこの感染症を報告伝染病に入れること、および流行を正確に把握するために、環境中の菌の分布、人と家畜の血清スクリーニングを行うことを検討している。積極的な治療を行っても敗血症性類鼻疽の死亡率は高いので対策として次のことが必要である。

 1.死に至る要因として糖尿病、過剰飲酒があるのでこれをコントロールする。
 2.流行地域で農作業や関連職業に従事する人達は、皮膚を直接土壌に暴露させないように防御性のある靴や手袋を着用する。
 3.感染が疑われた場合は至急、適切な抗生物質を使用して治療する。
 4.再発防止のために抗生物質の持続使用と追加観察が重要である。

(台湾疫情報導、14、No.2、47、1998)

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