急性弛緩性麻痺とポリオ根絶−英国

WHOでは、近づいてきたポリオ根絶宣言のために、急性弛緩性麻痺(AFP;acute flaccid paralysis)のサーベイランス実施を各国に強く勧めている。AFPサーベイランスの中では、Guillain-Barre症候群を含めることによってポリオ非典型例を拾い出し、またその国のサーベイランスシステムの質的評価を客観的に捕らえようとするものである。

この中で、報告の完全性、サーベイランスの感度、症例調査の完全性、経過観察の完全性、実験室診断の5点が重要な役割を担うことになる。またポリオ根絶宣言のために、臨床診断よりもウイルス学的な診断によるより厳重な、より信頼度の高い診断基準がそれぞれの国に対して必要となってきている。

英国ポリオ制圧委員会では、本年以降英国はポリオゼロ国としての証明が出来る旨の書面をWHO に提出した。地球上からのポリオ根絶が達成されるまで、Guillain-Barre症候群を含むすべてのAFP例についてポリオの診断を考慮することが重要であり、そのためには発症2週間以内に少なくとも24時間間隔で2検体の便をウイルス分離のために提出しなければならない。

IASR編集委員会註:わが国でも厚生省によって日本ポリオ根絶委員会が組織され、ポリオ根絶証明のためポリオ疑い例すべてからのウイルス分離を含むポリオ様疾患患者発生動向調査が1998(平成10)年5月1日より実施されている(本月報Vol. 19、 No.5参照)。

(CDSC、 CDR、8、No.17、 147、1998)

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