食品の二次汚染によるCampylobacter腸炎の集団事例、1996−米国・オクラホマ州

1996年8月29日、ジャクソン郡衛生部(オクラホマ州南西)は州衛生部にCampylobacter jejuniの集団感染について報告した。これは地方飲食店で8月15日に昼食をとった人たちの間で起こった事件である。

1996年8月15日に問題の飲食店で昼食をとった一人が、8月16〜20日の間、下痢もしくは嘔吐の症状を呈したことから発覚した。8月15日にその飲食店で昼食を食べた者のうち25人が喫食調査に応じ、14人が症状を呈していた。患者の中央値は33歳(5〜52歳)、10名(71%)が女性であった。患者全員が下痢を、13名(93%)が発熱、13名(93%)が腹痛、11名(79%)が吐き気、5名(36%)が嘔吐、3名(21%)が血便を訴えた。潜伏期中央値は3日(1〜5日)であった。患者2名(14%)が入院した。患者10名から回収された糞便試料すべてからC.jejuniが分離された。食材は残っていなかった。

当局によるケース・コントロール解析の結果、患者14名すべてと対照群11名中4名(36%)がレタスを、患者11名(79%)と対照3名(27%)がラザニアを喫食しており、統計学的に両食材が本事例と関連付けられた。

飲食店の査察の結果、調理台が小さく、調理中に生鶏肉と他の食材が適切に分離できないことが指摘された。調理師の話によると、昼食メニューであるサラダ、ラザニア、サンドイッチを調理する前に、ディナー用の生鶏肉を切っていた。レタスはナイフで切られたが、調理師は腰に巻いたタオルで頻繁に手を拭いていた。テーブル表面は漂白剤で適切に消毒されていたが、鶏肉を処理した後調理台を消毒したかは定かでない。レタスもしくはラザニアが、汚染された手、調理器具または調理台で汚染された可能性があった。当局は、調理スペースの拡大、使い捨てタオルの設置、手洗いの励行を呼びかけた。

Campylobacterは米国での主要な食中毒原因の一つであり、年間 200万件の腸炎を引き起こす。一般に症状は軽いが、時にはGuillain-Barre症候群を併発する。集団事例は少なく、未殺菌の牛乳や飲料水に起因することが多いが、散発は鶏の不適切な取り扱いによることが多い。米国では88%の鶏肉でCampylobacterが検出されている。Campylobacterの感染菌量は500程度であり、生鶏肉による二次汚染が問題となっている。

(CDC、MMWR、47、No.7、 129、1998)

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