保育所・家庭内におけるアデノウイルス感染の広がり−和歌山県

我々は先にアデノウイルス7型(Ad7)分離7例について報告した(本月報Vol.18、No.9、1997)が、その後さらに20例のAd7が分離された。その中に保育所を中心とした集団感染例が見られたのでその概要を報告する。

には1997年の1年間を通してA病院(前回報告分のすぐ南の定点)を受診したAd7 感染が疑われた患者19名の発病日、検体採取日およびその結果を示した。合計13名からAd7 が分離されているが、このうちNo.1と19を除く11名が8月中のものである。そしてその大半がH保育所(園児約60名)の園児およびその兄弟等であった。まず、図中、H保育所に通うNo.2の患者が、7月31日、咽頭結膜熱を発症、発熱(10日間、最高体温40℃)、下気道炎、白血球減少等の症状を呈しA病院に入院した。ただし、Ad7は13病日の検体(便、咽頭ぬぐい液)からは分離されていない。引き続きNo.2の姉妹(No.3、4)が6日、9日後に発病、また、近所に住む従兄のNo.5(小学生)も同じく9日後に発病した。さらにNo.6、7、8の3姉弟においても、まずH保育所に通うNo.6が8月7日に発病し、その1週間後に姉2名(小学生)も発病した。

この他にもH保育所においては5名の発症者が見られ、4名からAd7が分離された。

従って、Ad7は、保育所や家庭内のように生活を共にする所では、容易に感染すると考えられる。

今後の県内他地域における動向が注目される。

最後に和歌山市における抗Ad7中和抗体保有状況について述べる。抗体保有率は50歳代では6/30(20%)であったが、30歳代では2/30(7%)、3〜5歳では1/30(3%)と低く、これはおおむね他県の結果と一致した。

和歌山県衛生公害研究センター
今井健二 寺杣文男 石垣彰一

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