<速報> エコーウイルス30型による無菌性髄膜炎の流行−川崎市

川崎市において、1997年7〜8月および10月にエコーウイルス30型(E30)による無菌性髄膜炎の流行がみられた。本市でE30が分離されたのは1991年に無菌性髄膜炎が大流行して以来のことである。

E30はCaCo-2細胞でよく増殖し、CPEも確認しやすく、中和試験によるウイルス同定についても同細胞を使用した。7〜10月にかけE30は29名から分離され、そのうち、髄膜炎症状を呈した患者は25名認められた。月別の分離状況は7月4例、8月3例、9月1例、10月21例であった。分離数は10月の下旬に多く認められ、その時期に、川崎市内の保育園で、4名の園児が罹患、入院した。この4名からはいずれもE30が分離され、その園児の家族内での感染も認められた。感染ルート調査のため9名の健康な園児について糞便を採取し、ウイルス分離試験を行なったところ1名からE30が分離された。

今回のE30における年齢別分離状況では1ヵ月齢〜10歳までの小児から分離され、4歳4例、5歳10例、6歳5例と保育園に通園していると思われる年齢層から多く分離されており、そのため、他の施設においてもE30による無菌性髄膜炎の流行があったと推察される。

川崎市衛生研究所 清水英明 平位芳江

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