<速報>エコーウイルス30型による髄膜炎の流行−大阪市

1997年7月下旬以降、当院のある大阪市此花区西部の比較的狭い地域で髄膜炎が流行した。まず7月下旬〜8月上旬にかけてT保育園の園児4名とその周辺3名、9月上旬〜下旬にかけてR保育園の園児7名とその周辺4名、9月下旬〜10月中旬にかけてK幼稚園の園児5名とその周辺1名というように、保育園・幼稚園を核として広がる髄膜炎・髄膜症の流行が捉えられた。この3施設は互いに直線で1キロメートル未満の距離にある。以上3施設関連の髄膜炎・髄膜症症例は合計24例であり、その他の当科で診療した症例を含めた合計46例のうちで同胞発生が8組あった。また母親への感染が3例、叔父への感染が1例あり極めて近接した集団での伝播が見られた。なおこの46症例のうち13例においてSRLに便ウイルス分離を依頼し、そのうち9例からエコーウイルス30型(E30)が分離された。また、それ以外にウイルス抗体価の上昇より5例でE30の感染が証明されている。一方、此花区東部にある小児科基幹病院である大阪市立北市民病院ではこの流行は捉えられていないようである。

この流行はサーベイランスに捉えられないほどの局地的な流行であったこと、成人にも伝染していること、顕性感染の率が高いこと、流行季節をはずれた9月、10月という時期にも流行が見られたことなどが興味深い。

大阪暁明館病院小児科 川崎康寛

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