<速報>急性出血性結膜炎からのコクサッキーウイルスA24型変異株の分離−熊本県

熊本県では、1997年8月〜9月に流行性角結膜炎(15検体)および急性出血性結膜炎(2検体)患者の結膜ぬぐい液合計17検体が熊本市のA眼科定点医より搬入され、コクサッキーウイルスA24型変異株(CA24v)2株と、アデノウイルス19型2株が分離された。CA24vは、急性出血性結膜炎(AHC)の病原ウイルスとして知られているが、日本では分離例はまだ少なく、本県でも、1995年と1996年に、流行性角結膜炎( EKC)から1株ずつ分離されているだけである。

今回、AHCと診断された2例の分離についてその概要を述べる。ウイルス分離は、HeLa、HEp-2、Vero、RD-18Sの4細胞を用いてマイクロプレート法で行った。

第1例:43歳女性で、初診時の症状は結膜炎症状および瞼結膜に小点状出血を少数認めた。当初、EKC と思われたが、第4病日からAHC の所見を呈してきた。第1病日の検体を3代まで接種したところ、HEp-2 細胞にCPE が見られた。CPE は、アデノウイルス様とは異なりエンテロ様で、昨年検出したCA24v のCPE に似ていた。エンテロウイルスレファレンスセンターより分与された抗エコーウイルスプール血清(EP95)1〜6の各20単位とCA24v 抗血清(抗EH24血清、国立感染症研究所より分与)20単位を用いて中和反応を実施したところ、容易にCA24v 抗血清で中和された。

第2例:60歳男性で、初診時の症状は結膜炎症状および球結膜に出血がみられた。検体はAHC 第1病日のものである。初代よりHeLa、HEp-2 、RD-18Sの3細胞に、1例目の検体と同様のCPE が見られた。同じ抗血清を用いて中和反応を実施したところ、CA24v 抗血清で中和された。

2例の間には、接点および周辺の流行もなかったようである。また、熊本県感染症サーベイランス事業の1997年8月〜9月の患者情報でも、県内にAHC の流行はなかった。

熊本県保健環境科学研究所
荒平雄二 西村浩一 甲木和子 中村 所長
日隈眼科医院 日隈陸太郎

今月の表紙へ戻る


Return to the IASR HomePage
Return to the IASR HomePage(English)

idsc-query@nih.go.jp

ホームへ戻る