<速報>エコーウイルス30型による無菌性髄膜炎の流行−神戸市

例年夏期には無菌性髄膜炎の小流行が見られるが、神戸市において本年はエコーウイルス30型(E30)が流行している。無菌性髄膜炎の発生は現在(10月)も続いており、むしろ発生数が増加している。当研究所では神戸市中央市民病院の無菌性髄膜炎患者(主に小児科)からのウイルスの分離を実施している。8月まではコクサッキーウイルスB2型の散発はあったが、ほとんどがE30であった。9月はすべてE30であり、さらに生後1〜3カ月の不明熱の乳児3人からもE30を分離した。予後は比較的良好なようであるが、1例若干重篤であった患者から、E30のRD-18S分離株と、E30と推定されるFL(Vero-E6)分離株の2種類のウイルスを分離した。FL分離株は予研(現感染研)から分与されたプール血清およびE30の単味抗血清では中和されず、当研究所の1990年のE30の流行時の患者後期抗血清でのみ中和された。さらに検討を要する。大人の無菌性髄膜炎も数件見られ、子供が発症した後母親も発症した例もある(未同定)。

神戸市環境保健研究所 秋吉京子 須賀知子

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