感染性胃腸炎患児からのSRSVゲノムの検出一香川県

県下の感染症サーベイランス定点を受診した散発事例のウイルス起因が疑われる感染性胃腸炎患児を中心として、PCR法でSRSV(小型球形ウイルス)ゲノムの検出を行った。

PCR法は、グアニジンチオシアネートを用いて、RNaid 法によってRNAを抽出し、プライマーはWangらの作製したORF1中のSense 36/Antisense 35とSense 82/Antisense 81のペアー(Single PCR)および両ペアー(Nested PCR)を使って行った。

1996年3月〜1997年1月にかけて採取した糞便(6歳以下の患児由来)95検体(アデノウイルス、ロタウイルス陽性糞便を前もつて除いた)から47例のSRSVゲノムが確認できた。(表)

6月に入ってから各月とも高率にウイルスゲノムを検出することができた。しかし、1997年1月に入って検出率は極端に低下し、中旬以降の感染性胃腸炎由来材料などからは検出できなくなった。

この期間中の陽性患児を年齢別にみるとO歳児30検体中14例、1〜2歳児41検体中18例、3〜4歳児14検体中9例、5〜6歳児10検体中6例の分布であった。しかし激減した1月分を除いてみると、O歳児21検体中13例、1〜2歳児29検体中17例、3〜4歳児13検体中9例、5〜6歳児8検体中5例で、各区分でほぼ同様の検出率となった。

なお各検体とも電子顕微鏡によるウイルス粒子の検索は行っていない。

各月とも検体数が少ないため一概にはいえないが、県下でこの時期、上記プライマーで検出できるSRSVによる感染性胃腸炎が散発的に継続して発生し、1997年1月に入って終息したものと考えられる。

しかし、この期間中、県下の感染症サーベイランス患者情報による感染性胃腸炎(ウイルス)の患者発生数は例年に較べても大きな変動はみられなかった。また施設における集団発生なども確認することはできなかった。

香川県衛生研究所
山中康代 亀山妙子 三木一男 山西重機
国立予防衛生研究所 松野重夫

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