エコーウイルス11型の流行−高知県

高知県においてエコーウイルス11型(E11)の流行を認めた。

1996年9月末〜12月末現在までに、感染症サーベイランス検査定点医療機関の患者26名からE11が分離された。検査材料としては当所に9月末〜12月末までに受け入れた咽頭ぬぐい液、糞便、髄液等 108検体を用いた。ウイルス分離はRD-18S、LLCMK、Vero、HeLa細胞を用いて行ったが、RD-18S細胞に最も感受性を示し、ウイルスの同定はすべて同細胞を用いた。 CPEは検体接種から2〜3日目に認められた。ウイルス同定には当初デンカ生研製のプール血清を用いたが、同定困難であり、国立予防衛生研究所より分与されたプール血清 EP-95を用いて再び中和試験を行ったところ、E11と同定された。単味血清はデンカ生研製を使用したが、特に問題はないように思われた。また、ウイルス株の一部については愛媛県立衛生研究所から分与された単味血清を用いて再確認を行った。

ウイルスが分離された患者は高知市、南国市内の検査定点病院からの検体が多いことから中央部からの患者が多かったが、東は室戸市、西は宿毛市に至る県下全域から認められている。

E11が分離された患者26名の臨床診断名と年齢分布をに示した。不明発疹性疾患とインフルエンザ様疾患(11月中旬以降の受け入れ)が大部分を占めているが、注目すべきは不明発疹性疾患が0〜1歳に集中しており、インフルエンザ様疾患が5歳以上であったことである。今回の流行では年齢により臨床診断名あるいは症状が明確に分かれており、興味ある例と思われる。期間中に検査を行った無菌性髄膜炎の患者は3名であり、うち2名からE11が分離されている。

26名の主な症状としては発熱が92%にみられ、次いで発疹42%、上気道炎38%であった。無菌性髄膜炎の患者のうち1名においては痙攣、意識障害もみられた。

本県においては過去にもE11による散発事例がある。しかし、今回のように流行した例はない。この流行がはたして1997年にも続くかどうか注目されるところである。

高知県衛生研究所 千屋誠造 高橋 信 出口祐男
細木病院     浜田義文

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