1996/97シーズン早期に発生したインフルエンザの流行−福島県

1.インフルエンザウイルス分離状況

1996/97シーズンにおける福島県の最初の分離は、全国に先駆け、感染症サーベイランス事業において、1996年10月7日、県中地区の定点から上・下気道疾患の2歳男児より分離されたA/H3N2(A香港)型であった。その後、分離株数は11月以降、患者数の増加にともなって増加し、サーベイランス事業での分離数は、1997年1月26日現在、10月7株、11月61株、12月21株、合計89株となり、すべてA香港型であった。また、サーベイランス事業以外に流行予測事業(県北、県中および浜地区)で11月〜12月42株、さらに、12月に集団発生(県北および会津地区)の3事例より2株分離されており、すべてA香港型であった。なお、サーベイランス事業のうち、12月中旬以降の検体からインフルエンザ様株が90株分離されており、現在型同定中である。分離症例での臨床症状は、発熱、上気道症状が主であった。また、患者年齢分布は10歳以上の割合が40%以上を示し、従来より高い年齢での罹患が特徴と考えられる。

2.抗原分析の成績

1996年2月以降に本県で分離したA香港型の代表株について国立予防衛生研究所・インフルエンザセンターにて行った抗原分析の成績をに示した。この成績で注目すべき株は、A/福島/114/96株である。この株は1996年3月2日にサーベイランスの県中地区の定点で12歳の男児から分離された株であるが、A/秋田/1/94株より変異した株であり、全国的にも今シーズン流行の主流株になるであろうと予想されていた。

その後、本県ではA香港型が非流行期の4〜7月に1株ずつ続けて分離され、そして10月以降の大発生へと繋がっており、その主流株はA/福島/114/96株様であると推察していた。しかし、10月中旬以降は、今シーズンのワクチン株であるA/武漢/359/95株と同様な株のみが分離されている。今後さらに分析を進めたいと考えている。

福島県衛生公害研究所 猪狩浩周 馬庭良子 横山博子 三川正秀 鈴木サヨ子

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