国立感染症研究所 感染症情報センター
Go to English Page
ホーム疾患別情報サーベイランス各種情報
高病原性鳥インフルエンザ
被災地・避難所におけるインフルエンザのアセスメントと注意点

予防に必要なもの:手洗いの水、速乾性アルコール製剤、
マスク、咳エチケット

2011年3月18日現在
国立感染症研究所感染症情報センター

 避難所等で注意すべき感染症の1つはインフルエンザです。今シーズンのインフルエンザの流行は2011年の1月下旬をピークに患者数は減少していましたが、2011年第10週(3月7〜13日)の全国の患者発生報告数は増加しました。第11週(3月14日〜20日)の患者発生数はまだ不明ですが、第10週よりも更に増加する可能性が高いと思われます。東北およびその周辺地域では、A香港型(AH3亜型)を中心としたインフルエンザの感染拡大がみられてきています。今後被災地・避難所等においてA型を中心としたインフルエンザの集団発生が多発してくる可能性が高いと思われます。既に複数の避難所においてインフルエンザの発生等が報道されています。

 インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染であり、他に接触感染もあります。避難所等で何日も寝食を共にする環境では、集団発生が起こりやすくなっています。38度以上の高熱と咳・喉痛などの急性呼吸器症状を発した場合はまずインフルエンザを疑ってください。そのような方がおられる場合は、早めの対応(治療を行う、有症状者のマスクの着用、他の方々との距離をとっていただく等)を可能な範囲で実施していただくことをお願いします。特に高齢者や乳幼児など感染による重症化のリスクが高い方に対しては、可能であれば早めの抗インフルエンザウイルス薬の投薬を行うことも考慮しましょう。また、感染しても軽症のためにインフルエンザとは診断されない人もいることに注意しましょう。避難所にはこれから様々な支援の方々も入られると思われますが、外部からインフルエンザウイルスが持ち込まれないように厳重な注意をお願いします。

 インフルエンザの感染予防対策の基本は咳エチケットと手指衛生です。避難所では喉の保湿・保清のためにも、もしマスクがあれば着用していただいた方がよいでしょう。水は飲料水や調理・調乳に優先使用され、遠慮なく手洗いができる状況ではない場合が殆どでしょうから、速乾性アルコール製剤による手指衛生も活用すべきです。抗インフルエンザウイルス薬やインフルエンザの迅速検査キットについても、被災地とその周辺では極端に不足しているのが現状ですが、関係者の方々は、被災地でのインフルエンザの流行および他の疾患への対策を含み、これらの医薬品、消毒薬等の物資の供給に最大限の努力を払っていただければ、と思います。

■関連リンク■
 インフルエンザ(感染症の話)
 2011年第10週インフルエンザ流行レベルマップコメント

(2011年3月18日 IDSC 更新)

* 情報は日々更新されています。各ページごとにブラウザの「再読み込み」「更新」ボタンを押して最新の情報をごらんください

Copyright ©2004 Infectious Disease Surveillance Center All Rights Reserved.