国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ
パンデミック(H1N1)2009 - 更新 82
2010年1月8日 WHO (原文)

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update 82

2010年1月3日現在、世界で208以上の国、自治領、地域から、12,799症例以上の死亡例を含む、実験室診断により確定されたパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009の症例が報告されている。

WHOはWHOの地域事務所や加盟国と連絡を密に取り、複数のデータをモニタリングして、パンデミックインフルエンザの流行状況を監視している。

Situation update:

現在パンデミックインフルエンザの感染伝播が最も活発に発生している地域はヨーロッパ中央部、東部、東南部と北アフリカ、南アジアである。

ヨーロッパでは、大陸全土で依然パンデミックインフルエンザの感染伝播は続いており、最近呼吸器疾患患者数の急激な増加を報告したポーランド、セルビア、ウクライナ、グルジアといったヨーロッパ中央部、東部、東南部の国々では引き続きウイルスの循環が続いている。先週1週間の間に、患者から採取したサンプルを20検体以上検査している国のうち、パンデミックインフルエンザウイルス陽性となった検体の割合が多かった国はギリシャ(72%)、グルジア(54%)、スイス(49%)、ポルトガル(48%)、ドイツ(48%)、ルクセンブルク(40%)、ルーマニア(30%)、ポーランド(25%)、アルベニア(23%)であった。西部、北部ヨーロッパのほとんどの国々では、インフルエンザ様疾患(ILI)患者、および急性呼吸器疾患(ARI)患者の発生率は継続して減少しており、多くに地域でその流行の程度が基線近くまでに戻っている。季節性インフルエンザ(H3N2)は西ヨーロッパで散発的に認められているが、ごく稀である。ヨーロッパ諸国におけるパンデミックインフルエンザ粗死亡率(パンデミックインフルエンザ関連死亡者数を百万人で割った数)を世界各国のそれと比較すると同程度であり、死亡率は世界中で同程度と考えられる。

アフリカ北部と西アジアからの限られた情報によると、これらの地域では、インフルエンザの感染伝播は引き続き起こっていると考えられる。西アジア地域では既に極期を迎えたようであるが、北アフリカ、特にエジプトからは呼吸器疾患患者数の増加が引き続き報告されている。アルジェリアとモロッコでは11月から12月にかけてILI患者数とパンデミックインフルエンザウイルスの検出数が高かったが、その後ピークを迎えたようである。

南アジアでは、地域全体、特に呼吸器疾患患者数の増加を報告している北インド地域、ネパール、スリランカでパンデミックインフルエンザの感染伝播及び流行が続いている。東南アジアでの感染伝播は地域的あるいは広域に起こっているが、流行の程度は差はあるものの低く保たれている。ここ3週間タイの一部の地域ではILIの報告数が増加している。ベトナムでは9月から11月にかけて流行を認めていたが、12月に入り落ち着いた。ラオス、カンボジアでも、12月に入ってからの呼吸器疾患患者数の報告数は減少している。

東アジアでも、インフルエンザの感染伝播は地域全域で認めているが、流行は落ち着いてきている。日本、中国南部、台湾、香港ではインフルエンザ、およびILI患者数は継続的に減少している。検出されるウイルスは、パンデミックインフルエンザウイルスが優勢ではあるが、中国北部では季節性インフルエンザウイルス(H3N2)が、割合としては少ないが検出されている。モンゴルでは再びILI発生率の若干の増加が認められている。

中央アジアでは、ウズベキスタンでは11月、キルギスタンでは12月初旬に呼吸器疾患患者数がピークを超えて以来、ILI,ARIの発生は減少している。

アメリカ大陸では、熱帯地帯でも北部の温帯地帯でも、パンデミックインフルエンザの流行は低い。北米ではメキシコが10月初旬、アメリカが10月中旬、カナダが10月下旬にそれぞれピークを迎えた。これらの国々では、予想通り春から夏にかけて認めた流行よりも、秋から冬の流行期間のほうが患者数が多かった。カナダでは、通常より早い時期でのインフルエンザシーズンを終え、ILI発生率は例年レベルを下回った。

南半球の温帯地域では、パンデミックインフルエンザの活動は散発例しか報告されておらず、集団発生は認めていない。これは、ウイルスの感染伝播力が弱くなる夏季においては、すでに大きな流行を認め、多くの人が感染したことにより集団免疫が期待できる集団では、ウイルスの持続的感染伝播を防御することが可能であることを示している。



地域名 累積総数
2009年12月20日まで
死亡例
WHOアフリカ地域 (AFRO) 131
WHOアメリカ地域 (AMRO) 少なくとも6,880
WHO東地中海地域 (EMRO) 708
WHOヨーロッパ地域 (EURO) 少なくとも2,554
WHO東南アジア地域 (SEARO) 1165
WHO西太平洋地域 (WPRO) 1361
総計 少なくとも 12,799
 

※各地域における更新情報については下記のページをご覧ください
WHOアフリカ地域(AFRO:Regional Office for Africa)
WHOアメリカ地域(AMRO:Regional Office for the Americas)
WHO東地中海地域(EMRO:Regional Office for the Eastern Mediterranean)
WHOヨーロッパ地域(EURO:Regional Office for Europe)
WHO東南アジア地域(SEARO:Regional Office for South-East Asia)
WHO西太平洋地域(WPRO:Regional Office for the Western Pacific)
(2010/1/14 IDSC 更新)
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