国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ
パンデミック(H1N1)2009 - 更新 80
2009年12月23日 WHO (原文)

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update 80

2009年12月20日現在、世界で208以上の国、自治領、地域から、11,516症例以上の死亡例を含む、実験室診断により確定されたパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009の症例が報告されている。

WHOはWHOの地域事務所や加盟国と連絡を密に取り、複数のデータをモニタリングして、パンデミックインフルエンザの流行状況を監視している。

Situation update:

北半球の温帯地域では、パンデミックウイルスの感染伝播は広い範囲で起こっている。しかし、北半球のほとんどの地域で極期を迎えたと思われる。流行が遅れて到来した東、及び中央ヨーロッパ、そして西、中央、南アジアの一部では依然流行は続いている。

アメリカとカナダでは、インフルエンザの感染伝播は続いているが、全体のインフルエンザ様疾患(ILI)患者数はアメリカでは季節性のベースラインレベル近くまで、カナダではそれ以下のレベルまで下がっている。アメリカでは死亡者数や入院者数は6週前の極期より徐々に減少しているが、肺炎とインフルエンザによる死亡者(P&I致死率)は11週続けて流行の閾値を超えている。カナダでは、ILIの発症率、アウトブレイクの発生数、提出された検体のうちインフルエンザ陽性となる割合が、6週間前の極期以降おおむね減少していた。カナダの入院患者のうち約53%が基礎疾患を持っており、彼らは基礎疾患を持っていないグループと比較し高齢で、入院や死亡のリスクが高かった。また、カナダでは、先住民の入院患者の割合は冬のインフルエンザ流行期間のほうが、夏の流行期間中と比較し、少なかった(3.9% vs. 20.3%)。

ヨーロッパでは、大陸全土で依然パンデミックインフルエンザの感染は続いているが、ほとんどの国で流行は極期を過ぎたようである。少なくとも10カ国が定点での呼吸器感染症の検体のうち少なくとも30%以上がインフルエンザ陽性であったと報告している。ヨーロッパでは、タイピングが行なわれたインフルエンザA陽性検体のうち、98%以上がパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009ウイルスであったが、季節性インフルエンザウイルス(H1N1, H3N2, B型)もわずかではあるが引き続き検出されている。特記すべきは、ハンガリーとモンテネグロでは、流行が引き続き続いており、まだピークを迎えていない点と、セルビア、ウクライナ、グルジア、トルコでは流行の再燃が起こっていることである。最初に流行を認めた西ヨーロッパ諸国(ベルギー、オランダ、アイルランド、アイスランド)では、ILIの比率が季節性のベースライン近くまで下がってきており、北ヨーロッパ諸国では先月より徐々に流行の程度が弱くなってきている。最近インフルエンザの流行が活発だった中央ヨーロッパ、南ヨーロッパ諸国でも、ほとんどの国で流行が頭打ちになった(アルバニア、チェコ、エストニア)か、減少し始めた(オーストリア、ドイツ、ポーランド、ラトビア、クロアチア、スロバキア、ギリシャ)。さらに東では、ロシアで急性呼吸器疾患(ARI)の報告数が3週間前から継続して減少していると報告している一方、ウクライナやグルジアではILIやARIの比率が上昇していると報告しており、状況はまちまちである。ヨーロッパの15カ国でILI発症率がもっとも高かった年齢群が0-4歳、18カ国で5-14歳であった。ヨーロッパにおけるRSV感染者数の報告数が持続して6週間増加しており、いくつかの国では、その影響で小児のILIの報告数が高くなっている可能性もある。

限られた情報によると、西アジア、及び中央アジアでは、インフルエンザウイルスの流行はいまだ全域で続いているようであるが、傾向は国によって違うようである。カザフスタンやエジプトからは、呼吸器疾患患者の報告数が依然増加しているが、イスラエル、オマーンは1ヶ月前に極期を記録して以来報告数は減少傾向である。

東アジアの様子は先週とよく似ている。インフルエンザの流行は認めるが、全体的に収まってきている。日本、中国北部、および南部、台湾、モンゴルではインフルエンザ、ILIの流行は最近極期を迎え、徐々に患者数は減少している。南アジアではインド北部、ネパール、スリランカ、モルジブでインフルエンザの流行が続いている。

中央、南アメリカとカリブ海諸国の熱帯地域では、全体的に感染伝播は起こっているが、最近呼吸器疾患の報告数が増加しているバルバドス、エクアドルを除き、流行は減少、あるいは横ばいとなっている。



地域名 累積総数
2009年12月20日まで
死亡例
WHOアフリカ地域 (AFRO) 109
WHOアメリカ地域 (AMRO) 少なくとも6,670
WHO東地中海地域 (EMRO) 663
WHOヨーロッパ地域 (EURO) 少なくとも2,045
WHO東南アジア地域 (SEARO) 990
WHO西太平洋地域 (WPRO) 1039
総計 少なくとも 11,516
 

※各地域における更新情報については下記のページをご覧ください
WHOアフリカ地域(AFRO:Regional Office for Africa)
WHOアメリカ地域(AMRO:Regional Office for the Americas)
WHO東地中海地域(EMRO:Regional Office for the Eastern Mediterranean)
WHOヨーロッパ地域(EURO:Regional Office for Europe)
WHO東南アジア地域(SEARO:Regional Office for South-East Asia)
WHO西太平洋地域(WPRO:Regional Office for the Western Pacific)
(2010/1/12 IDSC 更新)
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