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高病原性鳥インフルエンザ
パンデミック(H1N1)2009 - 更新 75
2009年11月20日 WHO (原文)

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update 75

2009年11月20日-2009年11月15日現在、世界で206以上の国、自治領、地域から、6770症例以上の死亡例を含む、実験室診断により確定されたパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009の症例が報告されている。

世界各国が、特に軽症例について全例報告を中止しているため、実際に起こっている症例数よりも、報告数ははるかに低くなっていると思われる。WHOはWHOの地域事務局や加盟国と連絡を密に取り、複数のデータをモニタリングして、パンデミックインフルエンザの流行状況を監視している。

Situation update:

前回の報告から、インフルエンザの状況に大きな変化はない。北半球の温帯地域では、冬のインフルエンザシーズンの到来が例年と比較し早く、引き続き北米、ヨーロッパでは流行域が拡大している。しかし、北半球の一部地域では、流行のピークが過ぎた兆候を認めている。

アメリカでは、依然としてインフルエンザの流行は全国的に認められているが、北東部を除き、流行のピークを過ぎた様子である。カナダでは引き続きインフルエンザの流行は活発で、ピークに達した様子はない。インフルエンザ様疾患(ILI)による受診率は5歳から19歳で最も多くなっており、過去12年のインフルエンザシーズンの平均を引き続き大きく上回っている。

ヨーロッパでは、パンデミックインフルエンザウイルスの流行と感染伝播は、ヨーロッパ大陸全般に渡って認められているが、特にヨーロッパ北部、東部、東南部で強い傾向を認めている。一定期間、活発な流行期間を経た後、アイスランド、アイルランド、イギリス(アイルランド北部)、ベルギーといったヨーロッパ西部の国々では流行のピークを過ぎたようである。ヨーロッパ東部ではILIの発症率(セルビア、モルドバ、ノルウェー、リトアニア、ジョージア)や急性呼吸器疾患(ARI)ベルルーシ、ブルガリア、ルーマニア、ウクライナ)の報告数が急激に増加している。医療機関への影響も北部、東南部のヨーロッパの国々から報告されている。呼吸器系からのサンプルのインフルエンザ検査結果で陽性と報告した定点が全体の20%を超えた国は少なくとも20カ国以上あり、さらに50%以上の検査検体がインフルエンザ陽性であった国はスペイン、ポルトガル、エストニア、スロベニア、スロバキア、モルドバ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ギリシャ、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、ベルギー、アイスランド、アイルランドである。ヨーロッパで亜型を検査されたインフルエンザA検体のうち、99%以上がパンデミック(H1N1)2009ウイルスであった。

中央、西アジアではいくつかの国で、パンデミックインフルエンザウイルスの流行と、検体からの検出の増加が報告されている。カザフスタンでは、強い呼吸器疾患の増加傾向が報告されている。直近のILI,ARI発症率の増加はウズベキスタンやアフガニスタンの一部地域(首都周辺、南部、東北部の州)から報告されている。イスラエルからは、ここ数週間パンデミックインフルエンザウイルスの流行と、検体からの検出の増加が報告されている。

東アジアでも、インフルエンザの流行は活発である。非常に強いインフルエンザの流行と、激しい医療機関への影響を認めているのはモンゴルである。しかし、病勢はここ1-2週間でピークを過ぎたようである。日本では、以前インフルエンザの流行を認めているが、全国的には落ち着いてきており、都市圏では減少傾向にある。中国や東南アジアでは、少ないながらも季節性インフルエンザH3N2やH1N1が検出されているが、パンデミックインフルエンザH1N1の検出率が増加するに伴い、減少している。

アメリカ大陸、およびアジアの熱帯地域では、インフルエンザの流行具合は様々である。中央、および南アメリカの熱帯地域ではペルーとコロンビアを除きインフルエンザの流行は減少傾向である。Caribbean Epidemiology Centre (CAREC)加盟国では、最近の流行のピークを経て、ここ3-4週間、ARI発症率は減少傾向である。スリランカを除き、南アジアおよび東南アジアでのインフルエンザの流行は減少傾向である。香港では9月、10月のパンデミックH1N1インフルエンザの大流行を経て、ILI発症率が平年並みに戻った。

南半球の温帯地域では、パンデミックインフルエンザの流行はほとんど報告されていない。

更なる疫学情報に関しては、Weekly Epidemiological Report on Transmission Dynamics and Impact of Pandemic Influenza A (H1N1) 2009 Virus.13 November 2009, vol. 84, 46 (pp 477–484) を参照してください。

WHOでは、おおよそ8千万ドーズのパンデミックインフルエンザワクチンが出荷され、約6千5百万人が接種したと推測している。これらには様々なワクチンが含まれる。各国ではワクチンの安全性に対する厳密な監視が行われているが、現在のところ季節性インフルエンザの安全性と同等であるという結果を得ている。



地域名 累積総数
2009年11月15日まで
症例数 死亡例
WHOアフリカ地域 (AFRO) 14,950 103
WHOアメリカ地域 (AMRO) 190,765 4,806
WHO東地中海地域 (EMRO) 28,751 188
WHOヨーロッパ地域 (EURO) 79,000以上 少なくとも350
WHO東南アジア地域 (SEARO) 45,844 710
WHO西太平洋地域 (WPRO) 166,750 613
総計 526,060以上 少なくとも 6,770
 

※各地域における更新情報については下記のページをご覧ください
WHOアフリカ地域(AFRO:Regional Office for Africa)
WHOアメリカ地域(AMRO:Regional Office for the Americas)
WHO東地中海地域(EMRO:Regional Office for the Eastern Mediterranean)
WHOヨーロッパ地域(EURO:Regional Office for Europe)
WHO東南アジア地域(SEARO:Regional Office for South-East Asia)
WHO西太平洋地域(WPRO:Regional Office for the Western Pacific)
(2009/12/1 IDSC 更新)
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