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高病原性鳥インフルエンザ
パンデミック(H1N1)2009 - 更新 65
2009年9月11日 WHO (原文)
更新履歴
update 65
 
チリ、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国といった国に代表されるような南半球の温帯地域の国々では、インフルエンザの活動は落ち着いてきており、インフルエンザの活動は減少、あるいは平年並みに戻りつつある。

アメリカ大陸、およびアジアの熱帯地域では感染伝播は継続している。中央アメリカとカリブ海の多くの国々では、2週間続けてインフルエンザの活動の低下が報告されている。しかしながら、ボリビア、エクアドル、ベネズエラに代表される南米の熱帯地域の国々では、呼吸器疾患患者数が増加していると報告している。アジアの熱帯地域では地理的には依然として呼吸器疾患患者数は地域流行、あるいは広範囲に広がっているが、一般的な傾向はインド、バングラディッシュ、カンボジアで代表されるように増加している。

北半球の温帯地域では、インフルエンザの活動は様々である。アメリカでは、北東部の州でインフルエンザの活動の地域的増加が報告されている。ヨーロッパのほとんどの地域では呼吸器疾患の報告数は少ないか、あるいは僅かという報告であるが、一部の東欧諸国では活動が増加しているという報告がある。

WHO協力センターや他の実験室から引き続きオセルタミビル耐性インフルエンザ株分離の散発的な報告例がある。21例が世界各国から報告されており、これらはすべてオセルタミビルに耐性を持つことを意味する同じH257Yの変異を持っていたが、ザナミビルには感受性であった。これらの株のうち、12例が暴露後の予防投与に関与しており、4例は免疫抑制状態の患者に対するオセルタミビルの長期投与を行った患者であった。世界各国で1万件以上のパンデミック(H1N1)2009 ウイルスが検査されオセルタミビルに感受性があると報告されている。WHOでは協力機関と共同で引き続き注意深く耐性株の状況を監視していくが、現時点で抗ウイルス薬のガイドラインを変更する予定はない。

パンデミック(H1N1)インフルエンザウイルスは、引き続き北半球、南半球ともに、検出される株のほとんどを占めている。現在までのところ、調べられているパンデミック(H1N1)2009 インフルエンザウイルスの全ては、抗原的にも、遺伝子的にもパンデミック(H1N1)2009 インフルエンザウイルス(A/California/7/2009-like)に類似している。詳細データは実験室サーベイランスの更新情報を参照のこと。

注目すべき点は、アメリカ合衆国CDCから今週報告された18歳以下の36例のパンデミックインフルエンザ死亡例についての報告である。この小児の67%は、1つもしくは複数のハイリスクとなる基礎疾患を有しており、主に精神発達遅延を有していた。さらに、情報を収集できた23名中10名から細菌の2次感染を強く示唆する所見が得られている。
地域名 累積総数
2009年9月6日まで
症例数* 死亡例
WHOアフリカ地域 (AFRO) 6336 35
WHOアメリカ地域 (AMRO) 120653 2467
WHO東地中海地域 (EMRO) 9844 51
WHOヨーロッパ地域 (EURO) 49000以上 少なくとも125
WHO東南アジア地域 (SEARO) 22387 221
WHO西太平洋地域 (WPRO) 69387 306
総計 277607以上 少なくとも3205
 

※各地域における更新情報については下記のページをご覧ください
WHOアフリカ地域(AFRO:Regional Office for Africa)
WHOアメリカ地域(AMRO:Regional Office for the Americas)
WHO東地中海地域(EMRO:Regional Office for the Eastern Mediterranean)
WHOヨーロッパ地域(EURO:Regional Office for Europe)
WHO東南アジア地域(SEARO:Regional Office for South-East Asia)
WHO西太平洋地域(WPRO:Regional Office for the Western Pacific)
(2009/9/16 IDSC 更新)
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