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高病原性鳥インフルエンザ
ウクライナのパンデミック(H1N1)2009-update1
2009年11月3日 WHO (原文)

更新履歴

ウクライナ保健省によれば、現在、235例の集中治療を必要とした症例を含む、25万人以上のインフルエンザ様疾患の症例が記録されている。11月2日までに70例の急性呼吸器疾患による死亡例が報告されている。

ウクライナ西部地区で、最も高い割合の急性呼吸器疾患およびインフルエンザ様疾患の発生が引き続いている。キエフ地区の症例発生状況もまた急激に上昇している。

ウクライナでの実験室診断では、最も影響の出ている2地域の患者から得られたサンプルからパンデミックH1N1インフルエンザウイルスが確認されている。パンデミックウイルスは、世界中で急速に主要なインフルエンザ株となっているので、ウクライナのほとんどのインフルエンザ症例もH1N1ウイルスによっていると仮定することができる。

どこの地域であっても、WHOは実験室診断のH1N1感染の確定診断が無い場合であっても、治療クライテリアに合致する場合にはオセルタミビルもしくはザナミビルの抗ウイルス薬を用いた早期治療を勧告する。

ウクライナ政府の要請により、9名の学術専門家で構成された調査チームが既にWHOによって派遣され、昨晩までにキエフに到着している。本日早朝には、ウクライナ保健大臣とチームの間で状況の協議が行なわれた。

チームメンバーは、現在、症例の特徴やアウトブレイクの疫学状況について実地疫学を進めている。調査は、多数の明らかに重篤な急性呼吸器疾患が報告されているリヴィウ地域から行われる。チームの2名のウイルス学者が、診断支援のため、キエフの国立インフルエンザセンターと中央衛生疫学局で活動を開始した。

保健省によって送られたサンプルは、本日、英国、ロンドンのミルヒルにあるWHOインフルエンザ協力センターに届けられた。センターでは、確認検査を実施し、ウイルスの性状検査を進める。

多くの疑問が未解決のまま残っている。ウクライナのアウトブレイクは、冬季の北半球における流行、とりわけ東ヨーロッパの典型的な医療体制におけるウイルスの流行の指標となるかもしれない。

早期警報として、今回のアウトブレイクは重要となる可能性があり、WHOはウクライナ政府の隠し立ての無い報告や開かれたサンプルの共有を賞賛する。

WHOは、ウクライナを含め、引き続き国境閉鎖や海外渡航の制限を推奨しない。これまでの経験から、このような対策はウイルスの伝播を止めることにならない。



(2009/11/13 IDSC 更新)
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