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パンデミック(H1N1)2009



パンデミックワクチンの安全性
パンデミック(H1N1)2009-briefing note その16
原文

2009年11月19日 ジュネーブ

世界保健機関(WHO)は本日までに、パンデミック(H1N1)2009に対するパンデミックワクチン(接種)の全国キャンペーンを実施しているおよそ40の国のうち16カ国から、ワクチン接種に関する情報を受け取っている。WHOは、これらの16カ国から寄せられた情報に基づき、約8000万ドースのパンデミックワクチンが配布され、約6500万の人々が接種を受けたと推計する。オーストラリアと中国で、全国予防接種キャンペーンが9月後半に開始された。

人々をパンデミックインフルエンザから守るための予防接種キャンペーンが現在展開されているが、この規模はいくつかの国では歴史上最大のものであり、日々拡大している。この様な大規模なワクチンの接種が行われていることから、大規模な臨床試験でも検知できないような、まれな副反応もいくらかは起こる可能性がある。これは、安全性に関しての監視強化の必要性を強調している。本日までの成果は非常に勇気づけられるものである。

多く見られる副反応

予測された通り報告の多い副反応には、(局所)の腫れ、発赤、接種箇所の痛みが含まれており、これらは通常、ワクチン接種後少したてば自然と消退する。

ワクチン接種後比較的早期にみられる発熱、頭痛、全身倦怠、そして筋肉通も報告されているが、頻度は低い。これらの症状もやはり自然に、48時間以内に消えて行く。加えて、種々のアレルギー反応が観察されている。これらの反応の発生頻度は、完全に予測された範囲内に収まっている。

ギランバレー症候群

本日までに、10例未満のギランバレー症候群疑いの患者が、この(パンデミック)ワクチン接種者の中から報告されている。この数値は、最近の報告にあるギランバレー症候群の通常の発生率と一致している。それでもなお、ワクチン接種とは無関係にランダムに発生しているのか、それとも何か関係があるのかを明らかにするため、これらの症例については調査が実施されている。

WHOは、予防接種キャンペーンが開始されて以降の、ギランバレー症候群の疑い例からも、確定例からも、死亡の転帰をたどった患者の報告は受けていない。全例が回復している。WHOとしては、引き続き積極的なギランバレー症候群のモニタリングの実施を推奨する。

死亡例の調査

ワクチン接種を受けた人達の中から、少数の死亡者が報告されている。これらの死亡すべてがWHOへ報告され、直ちに調査されている。まだ調査が継続中のものもあるが、WHOに報告が届いた完了済みの調査結果によると、死亡原因へのパンデミックワクチンの直接的関連は否定された。

たとえば、1100万ドース以上のパンデミックワクチンがすでに接種された中国では、ワクチン接種後に起こった15例の重篤な副反応と2例の死亡が保健当局からWHOに報告されている。これら死亡例の、剖検(死亡後の解剖)結果の検討を含む詳細な調査から、死亡の原因は基礎疾患であり、ワクチン接種では無いことが明らかになった。

各種ワクチンの安全性に関するデータ

(先に挙げた)予防接種キャンペーンでは、アジュバント無しの不活化ワクチン、アジュバント添加不活化ワクチン、弱毒化生ワクチンが使われている。現在までのところ、ワクチンの種類の違いによる、重篤な副反応を対象とした安全性の関するデータに違いは見られていない。

ワクチンの安全性に関する監視強化は続けられるが、これまでに集められたデータによると、パンデミックワクチンは、これまで60年以上使用されてきた季節性インフルエンザのワクチンに相当するほど、非常に高い安全性を示している。




(2009/11/20 IDSC 更新)

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