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高病原性鳥インフルエンザ



現在のWHOパンデミック警戒フェーズ

      2009年4月29日 WHO(原文


 WHOの世界的インフルエンザ準備計画における現在の警戒フェーズ

 フェーズ記載の2009年更新版において、WHOは、新たな勧告とアプローチを既存の国レベルのインフルエンザ準備対策計画に盛り込み易くするため、6つのフェーズによる方法を維持した。パンデミックフェーズのグループ化と記述は容易に理解しやすく、より詳細に、観察可能な現象に基づいて改訂している。フェーズ1から3は収容能力を増やし対策計画の実効性を含む準備に関連づけ、フェーズ4から6は対策と緩和策に関する必要性を明らかに示すものである。さらに、パンデミック第1波の後の期間は、パンデミック後の回復活動促進を詳しく述べている。

 現在のパンデミック警戒のWHOフェーズは5である



 そもそも、インフルエンザウイルスは継続的に動物の間、特に鳥類で循環している。このようなウイルスはパンデミックウイルスに理論上進化をするかもしれないが、フェーズ1では、動物の中で循環しているウイルスがヒトにおいて感染を引き起こしたとの報告がない状態である。

 フェーズ2では、家畜または野生の動物の間で循環している動物のインフルエンザウイルスが、ヒトに感染を引き起こしたことが知られ、潜在的なパンデミックの脅威であると考えられる状態である。

 フェーズ3では、動物インフルエンザまたはヒト−動物のインフルエンザの再集合ウイルスが、ヒトにおいて散発例を発生させるか小集団集積症例を発生させたが、市中レベルでのアウトブレイクを維持できるだけの十分なヒト−ヒト感染伝播を起こしていない状態である。限定したヒト−ヒト感染は何らかの事情で発生するかもしれない。例えば、感染者と感染防御をしていない介護者の間で濃厚接触があった時に起こりうる。しかしながら、そのような限られた条件での限局した感染伝播は、ウイルスがパンデミックを引き起こすために必要なヒトの間での感染伝播能力の程度を得ていることを示唆しない。

 フェーズ4は、”市中レベルでのアウトブレイク”を引き起こすことが可能な動物のウイルスのヒト−ヒト感染伝播またはヒトインフルエンザ−動物インフルエンザの再集合体ウイルスのヒト−ヒト感染伝播が確認されたことである。市中で疾患の持続的アウトブレイクを引き起こすための能力は、パンデミックに対するリスクを有意に上方修正する。そのようなイベントが疑われたか確定したいかなる国も直ちにWHOに助言を求めるべきであり、それによってWHOと発生国は共同で状況を評価でき、迅速なパンデミック封じ込め行動の実施が保証されるのかどうかという判断を当該国が下すことができる。フェーズ4はパンデミックのリスクの顕著な増加を示唆するが、パンデミックになることが既定の結論であることを必ずしも意味しない。

 フェーズ5は、1つのWHO地域で少なくとも2つの国でウイルスのヒト−ヒト感染拡大があることである。多くの国々はこの段階では影響を受けていないだろうが、フェーズ5の宣言は、パンデミックが目の前に迫ったものであり、緩和対策計画の組織、情報伝達及び実施を最終的な状態にするまでの時間が短いことを示す強い警告である。

 フェーズ6(パンデミックフェーズ)は、フェーズ5に定義された基準に加え、WHOの異なる地域において少なくとも他の1つの国で市中レベルでのアウトブレイクがあることである。このフェーズが指定されることは、世界的なパンデミックが進行中であることを示すものとなるだろう。

 ピーク後の期間に、適切なサーベイランスを行っている多くの国々でのパンデミックの疾患レベルはピーク時に観察したレベルを下回るだろう。ピーク後の期間は、パンデミックの活動が減少していると思われることを表すが、さらに別の流行波が発生するかどうかは不確かであり、国々は第二波に備える必要があるだろう。

 過去のパンデミックは数ヶ月にわたる流行の拡大の波が明らかになっている。一旦疾患の流行レベルが落ちたら、その情報と次の流行波の可能性とを均等に伝えることが重要な情報伝達業務であろう。パンデミックの波は相互に何か月も離れることがあるので、直ちに”休止”のシグナルを出すことは時期尚早かもしれない。

 パンデミック後の期間に、インフルエンザ疾患の流行は季節性インフルエンザで通常見られる水準に戻るであろう。パンデミックウイルスは季節性インフルエンザAウイルスの様な振る舞いをすると予測される。この段階では、サーベイランスを維持し、パンデミックの準備と対応計画を適宜更新することが重要である。回復と評価に集中する時期が必要かもしれない。




(2009/5/3 IDSC 更新)
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