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高病原性鳥インフルエンザ



ブタインフルエンザに関するよくある質問−改訂版

      2009年4月27日 WHO(原文


 2009年4月27日

  • ブタインフルエンザとは何ですか?
  • ヒトの健康に影響を及ぼすものは何ですか?
  • ヒトの症例はどこで発生していますか?
  • ヒトはどのようにして感染するのでしょうか?
  • 豚肉や豚肉の加工品を食べても安全ですか?
  • パンデミックのリスクはどんなことですか?
  • ブタインフルエンザ予防にヒトへのワクチンはありますか?
  • 治療にはどんな薬が利用可能ですか?
  • もし、私がブタと定期的に接触があれば私はどんなことをしたらよいでしょうか?
  • 私はどのようにして感染したヒトからブタインフルエンザの感染から自分自身を防御すれば良いでしょうか?
  • もし、私がブタインフルエンザにかかったと考えたならば、私は何をしたらよいでしょうか?


ブタインフルエンザとは何ですか?

 
ブタインフルエンザまたは「ブタフル」はブタで感染力が強い急性の呼吸器疾患で、いくつかのブタインフルエンザA型ウイルスによって引き起こされます。有病率は高く、死亡率(1〜4%)は低い傾向にあります。ウイルスはエアロゾル、直接接触、間接接触及びウイルスを保有している無症候性のブタによりブタの間で広まります。ブタのアウトブレイクは温帯で秋期及び冬期に増加し、1年中発生します。多くの国々でブタインフルエンザ予防のためにブタの集団に定期なワクチン接種を行います。

 ブタインフルエンザウイルスは通常ほとんどの場合H1N1亜型ですが、他の亜型(例、H1N2、H3N1、H3N2)もブタの中で循環しています。さらにブタは、ブタインフルエンザウイルスと同様に鳥インフルエンザウイルスやヒトの季節性のインフルエンザウイルスにも感染します。H3N2ブタウイルスは起源をたどるとヒトによってブタにもたらされたと考えられています。時折、ブタは1度に1つ以上の型のウイルスに感染することが可能であり、これらのウイルスの遺伝子が混ざり合うことが可能です。これによって、複数の元になるウイルスの遺伝子を含むインフルエンザウイルスが発生しますが、それは“再集合体”ウイルス("reassortant" virus)と呼ばれています。ブタインフルエンザウイルスは通常宿主特異性がありブタにのみ感染しますが、ブタインフルエンザウイルスはヒトにおいて時々種の壁を越えてヒトに疾病を引き起こします。



ヒトの健康に影響を及ぼすものは何ですか?

 
ブタインフルエンザのヒト感染のアウトブレイク及び散発例は時々報告されています。一般的に、臨床症状は季節性のインフルエンザと類似していますが、無症候性感染から重症肺炎で死亡に至るまで幅広い臨床症状を呈します。

 ヒトへのブタインフルエンザ感染の典型的な臨床症状は季節性のインフルエンザ及び他の上気道感染と類似し、症例のほとんどは季節性のインフルエンザのサーベイランスを通じて偶然に検出されています。軽症または無症候性の症例は覚知されていないかもしれません。従って、ヒトでのブタインフルエンザの真の感染状況は知られていません。



ヒトの症例はどこで発生していますか?

 
2007年に改正した国際保健規則[IHR(2005)]1)の発効以来、WHOはアメリカ合衆国及びスペインからブタインフルエンザ症例の報告を受けています。




ヒトはどのようにして感染するのでしょうか?

 
ヒトは感染したブタからブタインフルエンザに感染しますが、ブタやブタがいる環境との接触歴がない症例もあります。ヒトからヒトへの感染は、いくつかの事例で発生していますが、濃厚接触者及び閉じられた集団に限定されています。



豚肉や豚肉の加工品を食べても安全ですか?

 
豚肉や豚肉の加工品を食べても安全です。ブタインフルエンザは、適切に扱われ、調理された豚肉または他の豚の加工食品を摂取することに由来したヒトへの感染は見られていません。ブタインフルエンザウイルスは、ブタ及び他の肉の調理の一般的な手引きと同様に華氏160度/摂氏70度の温度で調理することで殺滅されます。



ブタでアウトブレイクが発生した国はどこですか?

 
ブタインフルエンザは、国際的な動物衛生当局(国際獣疫事務局、OIE、http://www.oie.int)に対する報告義務がないため、動物における国際的な分布はよく分かっていません。本疾患は、アメリカ合衆国で地域的な流行であると考えられていました。ブタのアウトブレイクは、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ(イギリス、スウェーデン及びイタリアを含む)、アフリカ(ケニア)、及び中国及び日本を含む東アジアで発生したことが知られています。



パンデミックのリスクはどんなことですか?

 
特にブタと日常的に接触のない多くの人は、ウイルス感染を予防することが可能なブタインフルエンザに対する免疫を持っていないと考えられます。もし、ブタインフルエンザウイルスがヒトからヒトへの感染を効率的に起こすならば、インフルエンザのパンデミックを引き起こすことが可能になります。このようなウイルスによって引き起こされるパンデミックの影響は、予想が困難です。ウイルスの毒性、ヒトにおいてすでに存在する免疫状態、季節性のインフルエンザ感染で獲得した抗体による交差防御、および宿主の要因によります。



ブタインフルエンザ予防のヒトへのワクチンはありますか?

 
ヒトに病気をひきおこしている現在のブタインフルエンザウイルスを含んでいるワクチンはありません。現在のヒトの季節性インフルエンザワクチンがブタインフルエンザ予防に効くかどうかについては分かっていません。インフルエンザウイルスは非常に迅速に変化します。ワクチンを接種したヒトへの最大の効果をもたらすためには、現在循環しているウイルス株に対するワクチンを開発することが重要です。そういった理由でWHOは、最も適切なワクチンウイルスの候補を選定するために、可能な限り多くのウイルス収集を必要としています。



どんな薬が治療に利用可能ですか?

 
治療に利用可能な薬は2種類あり、1)アダマンタン(アマンタジン及びリマンタジン)と2)ノイラミニダーゼ阻害剤(オセルタミビル[訳註:商品名タミフル]及びザナミビル[訳註:商品名リレンザ])です。
これまでに報告された症例のほとんどは、治療及び抗ウイルス薬なしで疾患から完全に回復しています。
 いくつかのインフルエンザウイルスは抗ウイルス薬の耐性を持っており、治療に限界があります。アメリカ合衆国での最近のブタインフルエンザヒト感染症例から採取したウイルスは、オセルタミビルとザナミビルに感受性がありますが、アマンタジンとリマンタジンに耐性です。
ブタインフルエンザウイルス感染の治療における抗ウイルス薬の使用に関する勧告を作成するための情報は不十分です。臨床医は、臨床症状及び疫学的評価、および患者の治療の危険性と効果に基づいて判断しなければなりません2)。アメリカ合衆国及びメキシコでのブタインフルエンザ感染のアウトブレイクが継続していることに関して、政府と地方の保健当局はウイルスの感受性の試験に基づいて疾患の治療にオセルタミビルまたはザナミビルの使用を推奨しています。



もし、私がブタと定期的に接触があれば私はどんなことをしたらよいでしょうか?

 
たとえ、豚インフルエンザに感染したヒトの症例が、最近または現在起きている豚のインフルエンザ様疾患のイベントと関連する明らかな兆候がなくても、病気の豚との接触を最小限にし、動物の病気に関連する動物の健康に関連する部局に報告することが望ましいでしょう。 ほとんどの人は、感染したブタとの長期間にわたる濃厚接触で感染します。適切な衛生管理は、動物との全ての接触において不可欠であり、そのことは、病原体への曝露を防ぐために殺処分及び殺処分後の作業の時が特に重要です。弱った動物あるいは病気で死んだ動物は処理工程を実施すべきではありません。関連する国の部局の指導に従いましょう。 ブタインフルエンザは、適切に取り扱われ調理された豚肉あるいは他の豚の加工食品を摂取することに由来したヒトへの感染がこれまで見られていません。ブタインフルエンザウイルスは、ブタ及び他の肉の調理の一般的な手引きと同様に華氏160度/摂氏70度の温度で調理することで殺滅されます。



私はどのようにして感染したヒトからブタインフルエンザの感染から自分自身を防御すれば良いでしょうか?

 従来、ブタインフルエンザに感染したヒトは一般的に軽症ですが、肺炎のような重篤な疾患を引き起こしたことが知られています。しかし、アメリカ合衆国及びメキシコでの現在のアウトブレイクに関して、臨床像は違っています。アメリカ合衆国で確認された症例は重症例はおらず、医療を要せずして疾患から回復しています。メキシコでは、何人かの患者は重症のブタインフルエンザであったことが報告されています

あなた自身を感染から防御するために、以下のようなインフルエンザに対する一般的な予防行動を実行して下さい

  • 体調が悪く熱及び咳がある人との濃厚な接触を避ける。
  • 石鹸と水で頻繁によく手を洗う。
  • 十分に睡眠をとる、栄養のある食品を摂取する、体をよく動かすといった、良好な生活習慣を続ける。


もし、家庭で病気の人がいる場合:

  • 家の中で独立した区分を病気の人に与えるようにしましょう。もしこれが不可能であれば、少なくとも1メートルの距離を他の家族ととる様にしましょう。
  • 病気の人の世話をする際には、口と鼻を覆いましょう。使い捨てまたは適切に洗浄できるならば、市販のマスク類を購入してもいいですし、手元にある材料でマスクを作っても構いません。
  • 病気の人と接触するたびに、手を石鹸と水でよく洗いましょう。
  • 病気の人がいる領域の空気循環を改善するようにしましょう。ドアや窓を使って風をうまく利用しましょう。
  • 家庭で容易に利用可能な洗浄剤を用いて、環境を清潔に保ちましょう。

もしあなたが、ブタインフルエンザがヒトに病気をひきおこしている国に住んでいるならば、あなたの国及び地域の保健当局から出される上記以外の助言にも従って下さい。



もしブタインフルエンザにかかったと思ったら、私はどうしたらよいでしょうか?

もし気分が優れず、高熱・咳やのどの痛みがある場合は、
  • 家にとどまり、職場への出勤、学校への登校または人混みへの外出をできるだけ避けましょう。
  • 休養及び十分な水分補給をしましょう。
  • 咳やくしゃみをする際には使い捨てのティッシュであなたの口と鼻を多い、使用後のティッシュを適切に捨てましょう。
  • 特に咳やくしゃみをした後は、石鹸と水で手を頻回にしっかりと洗いましょう。

家族や友人にあなたの病状を伝え、買い物のような他人との接触を必要とする家事に対する助けを求めましょう

もし、あなたが医療機関を受診する必要があるならば、

  • あなたのかかりつけの医師あるいは医療機関を受診する前に連絡を入れ、あなたの症状を伝えましょう。ブタインフルエンザにかかったと思う理由を説明しましょう(例えば、ブタインフルエンザのアウトブレイクがヒトで発生している国に最近行った、など)。
  • もし、前もってあなたのかかりつけの医療機関に連絡ができなければ、医療機関に到着してすぐにブタインフルエンザの感染を疑っていることを伝えましょう。
  • 移動中、あなたの鼻と口を覆うよう気をつけましょう。



関連リンクRELATED LINKS

1)国際保健規則(2005)[IHR (2005)]

2)インフルエンザに特異的な抗ウイルス薬の効果と危険性



(2009/5/2 IDSC 更新)
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