国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



医療機関での新型インフルエンザ感染対策 −改訂版

          
2009年5月20日
          2009年8月25日改定
国立感染症研究所感染症情報センター
本文書は、新型インフルエンザA(H1N1)患者が国内で多数発生している中で、新型インフルエンザA(H1N1)の患者などからの医療関連感染(院内感染)をできるだけ防止するための、暫定的な手引きである。新型インフルエンザに対しても、原則として季節性インフルエンザと同様の飛沫予防策、標準予防策が適応となる。

なお、今後知見が積み重なるに従って改訂される可能性がある。

推奨される感染対策

  • 新型インフルエンザA(H1N1)に対する感染対策は、原則として、季節性インフルエンザと同様の飛沫予防策(注参照)、標準予防策(注参照)の適応となる。
  • 咳エチケット(注参照)を励行する。そのために必要な資材を準備する。
  • 医療従事者の健康状態を観察し、症状があれば自宅で過ごしてもらう。感染時に重症化のリスクが高い医療従事者は曝露が少ない部署への配置転換も考慮する。

外来での感染対策

  • すべての医療機関において、外来患者を含むすべての来訪者に対して、発熱や咳、くしゃみなどのインフルエンザ様症状を指標としたスクリーニングを行う。医療機関の入り口に近いところでチェックする。
  • インフルエンザ様症状があればサージカルマスク等を使用して咳エチケットを行ってもらう。
  • インフルエンザ様症状を呈している患者と、そうでない患者を別の区域に誘導するか、時間的な分離を行うことが望ましい。難しい場合でも、有症状者にはサージカルマスクを渡す等して咳エチケットを励行する。
  • これらの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい。適切な着用で感染予防効果が高くなることが期待される。
  • 患者に対して迅速診断キットやウイルス分離・RT-PCR検査のための検体を採取する場合は、それに加えて眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)と手袋を着用することが望ましい。この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行うようにする

病棟での感染対策

  • 上記(外来での感染対策)と同様の感染対策を行う。
  • 患者に対して入院加療が必要な場合、用いる病室は個室が望ましい。しかし、他の患者と十分な距離(1m以上)を置くことのできる状況ではこの限りではなく、インフルエンザ様疾患の患者を同室に収容すること(コホーティング)も考慮する。カーテンなどの障壁も有用である。
  • 患者の部屋に入室するスタッフは、サージカルマスクを着用する。手指衛生の励行に努める。
  • 患者の移動時には、着用が可能な状態であれば、患者にサージカルマスクを着用してもらう。
  • 医療従事者は、標準予防策の考え方に沿って、必要に応じて手袋、ガウンなどを使用する。使い捨ての資材は適切に破棄し、手指衛生を行う。
  • 面会者はできるだけ制限する。面会する場合は医療従事者と同様の感染対策を行う。
  • 気管支鏡、気管挿管などのエアロゾルを産生するリスクのある手技は、個室で行い、スタッフはサージカルマスクに代えてN95マスクまたはそれ以上の性能の呼吸器防護具、眼の防護(ゴーグルまたはフェイスシールド)を着用することが望ましい
  • 清掃、洗濯、リネンの扱い、洗浄・消毒については季節性インフルエンザと同様と考え、各施設で行っている方法に従う。

(注)

標準予防策:すべての患者に対して適用される感染対策。汗を除くすべての体液・分泌液・排泄物、健常でない皮膚、粘膜に触れる可能性がある場合には、直接触れることのないよう、程度に応じて手袋、サージカルマスク、ガウン(エプロン)、目の防護(ゴーグル、フェイスシールド)を使用する。また、その前後で手指衛生を行う。

飛沫予防策:インフルエンザを含め飛沫感染する病原体に対して行う感染予防策。飛沫は1m程度飛散すると考えられるため、この程度の距離に近づく医療従事者はサージカルマスクを着用する。また、患者同士の距離も1m以上あけるようにする。カーテンなどの障壁も有用である。

咳エチケット:咳やくしゃみをハンカチや上腕、マスクなどで飛び散らないようにし、さらに適宜手指衛生を行う方法。標準予防策の一部に位置づけられる。呼吸器感染症患者から周囲への感染を防ぐのに有効


解説

以下、上記の推奨に至った理由につき解説する。この解説は、医療関連感染(院内感染)に関する基礎的な用語や知識の解説を省略しているため、用語に関する不明点がある場合は、医療関連感染に関連する成書や文献もあわせてお読み頂きたい。

流行状況や感染経路などに関する現状分析

まず、新型インフルエンザA(H1N1)に関して、現時点で判明している流行状況や感染経路などの現状分析は以下の通りである:

  • ブタ由来のインフルエンザウイルスA(H1N1)が持続的なヒトーヒト感染を起こしており、新型インフルエンザウイルスA(H1N1)となっている
  • 世界各国で患者が確認されており、WHOはその疫学的状況を鑑みて、6月11日、パンデミックを宣言した。その後も南半球で大流行し、北半球においても流行が継続している。
  • 日本では5月16日に国内で感染したと考えられる患者の発生が確認され、7月22日までに検疫での診断分を含めて5,022名の感染者が報告された。現在は全数把握を行っていないが、インフルエンザ定点報告の結果からは全国的な大流行となりつつあると考えられる。現在の流行の広がりからは、学校や集会で増幅されながら市中での感染が広がっている印象を受ける。
  • 潜伏期はおそらく1〜4日、最大7日程度(CDC、WHO)
  • 患者の他人への伝播可能期間は発症の前日から始まり、発症日から5-7日後まで続く(CDC)
  • ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル)が有効と考えられる。一部でオセルタミビル耐性ウイルスが報告されているが、8月23日現在、それが流行している状況ではない。
  • 季節性インフルエンザワクチンによる、新型インフルエンザ対する効果は確認されていない。新型インフルエンザA(H1N1)に対するワクチンは現在製造中であり、接種対象者についての議論が行われているところである。
  • WHO に報告された確定患者数だけからみた致死率は約1%である。死亡者の多くは慢性疾患などの背景を有した患者とされているが、基礎疾患のない死亡者も報告されている。また、確定患者数は過小評価されており、実際の致死率はさらに低いものと思われるが、季節性インフルエンザよりは高い致死率を推定する専門家も多い。なお、メキシコの村における集団発生を対象にした研究[1]によれば、0.4%程度と 推定されている
  • 本疾患の感染経路は、季節性インフルエンザと同様に飛沫感染が主体で、一部は接触感染と考えられる。空気感染を積極的に示唆するエビデンスはないが、季節性インフルエンザと同様に、限られた状況では空気感染をきたす可能性が否定できない。
  • 眼を侵入門戸とする感染(広い意味での飛沫感染)については議論の余地がある。侵入門戸としての可能性は、解剖学的観点からは涙とともに鼻涙管から鼻腔内に 流れ込み得るとされている[2]。ただし、今回の新型インフルエンザA(H1N1)に関して結膜炎の報告は少ないため、感染経路としての重要性はさほど高くないと考えられる。
  • 一方、アメリカの642例の症例報告[3]では、下痢を呈する患者が25%(323名中82名)いるとされている。これらの患者の下痢便にウイルスが排出され、糞口感染などの感染源になりうるかどうかは、十分な知見がない。



日本でこれまで想定されていた新型インフルエンザの感染対策の見直しの必要性

  過去に新型インフルエンザに対して作成された感染対策のガイドラインは、2007年3月に厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議から発出された、「医療施設等における新型インフルエンザ感染対策ガイドライン」である[4]。このガイドラインは、鳥インフルエンザA(H5N1)のような致死率が高いウイルスが新型インフルエンザウイルスとなった場合に対応できるように作成されてきた。
 今回新型インフルエンザウイルスとなったブタ由来インフルエンザウイルスA(H1N1)は、現時点ではヒトの疾患としての重症度はさほど高くない。今後、ヒトに対する病原性を増す変異を起こす可能性は否定できないが、少なくとも鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト感染症例のようなイメージでとらえることは適切とは言えない。これらから、原則として季節性インフルエンザと同様の感染対策を適用するのが妥当と考えられる。

米国CDC、およびWHOの医療機関における感染対策ガイドラインと、その内容

 
CDC とWHOはそれぞれ、医療機関における感染対策ガイドラインを発表している[5,6]。両ガイドラインは、流行状況や感染経路に関して得られた知見に基づいて作成されていると思われ、参考にすべき文書である。ただし、CDCのガイドラインは流行の比較的早い段階であった5月3日の改訂が現段階での最終版であることに注意が必要である。

CDCのガイドライン[5]の要旨は以下である(2009年5月3日に最終改訂)。

  • すべての呼吸器感染症患者が咳エチケットを行えるよう、医療機関入口付近でスクリーニングする。
  • 新型インフルエンザA(H1N1)の確定・疑い患者は個室に入れ、ドアを閉める。
  • 気管挿管や吸入薬投与などエアロゾル産生リスクのある手技を行う際は、患者を陰圧室に収容して行う。
  • 患者が部屋から出るときには、患者はサージカルマスクを着用する。
  • 患者の部屋に入室する医療従事者はN95マスクを着用する。さらに、標準予防策に加え、接触予防策(ガウンと手袋)、目の防御、手指衛生を行う。
  • 病室への訪問は制限する。訪問者は医療従事者に準じた感染対策を行う。
  • 感染対策を行う期間は、発症から7日間もしくは症状消失までのどちらか長い方とする。
  • 医療従事者に発熱や呼吸器症状がないか、毎日スクリーニングする。有症者は、発症から7日間もしくは症状消失までのどちらか長い期間、仕事を休む。
  • 清掃、洗浄・消毒、洗濯、廃棄物の扱いは季節性インフルエンザと同様。


WHOのガイドライン[6]の要旨は以下である(6月25日に最終改訂):

  • 基本的な感染対策は飛沫予防策および標準予防策、手指衛生である。
  • 咳エチケットを徹底する。
  • 気管内挿管などエアロゾル産生リスクのある手技を行う際には適切な換気が行われた部屋で、医療従事者がN95マスクを着用して行う。
  • 鼻腔からの検体を採取する際にはサージカルマスクと手袋を着用し、目の防御を行う。
  • 鼻咽頭からの検体を採取する際にはエアロゾル産生リスクのある手技と同様に扱う。
  • 急性呼吸器症状を呈している患者をトリアージする。
  • 新型インフルエンザA(H1N1)と診断された患者が入院しコホーティングする場合は、他の患者とのベッド間隔を1m以上あける。
  • 病室に入る際には、標準予防策と飛沫予防策を行う。病室に入る医療従事者や家族、訪問者の人数を制限する。
  • 検体を運ぶ際には標準予防策を順守する。
  • 医療従事者の健康状態を観察する。症状があれば自宅で過ごしてもらう。新型インフルエンザA(H1N1)に罹患した場合に重症化するリスクが高いと考えられる医療従事者については、他の部門への配置転換も考慮する。抗インフルエンザ薬の予防投与については、それぞれの医療機関の状況に応じて検討する。
  • 廃棄物、食器類、洗濯、清掃、洗浄・消毒については通常と同様に行う。
  • 感染対策は発症から7日間行うべきである。肺炎などの合併症があれば、有症状期間は継続する。
  • 感染性のある期間中に退院する場合や、自宅で療養する場合は、発症から7日間は自宅で感染対策がとれるよう指導する。
  • 感染対策に必要な物品が不足するようであれば、サージカルマスクと手指衛生を優先する。


 いずれのガイドラインにおいても、患者に近寄る際には一段高めの感染対策、患者にエアロゾル産生手技を行う際にはもう一段高めの感染対策を講じている。 これはすなわち、医療従事者の職業上の感染リスクと、防護具のコストや着脱の手間、着用による不快感や患者の不安感、適切な着脱に要する訓練などとのバランスを考慮していると言える。

 CDCガイドラインはすでに市中での感染が拡大している段階で発表されており、入院が必要なほど重症の患者に主に対象を絞った内容になっている可能性がある。一方、WHOガイドラインは、資源が乏しい発展途上国でもある程度実行可能な内容となっている点にも注意が必要である。

 これらを踏まえつつ、日本における流行期においての感染対策の手引きとなるべく、以下に述べる。


 
基本的には、全国的な流行期に入った新型インフルエンザA(H1N1)の感染対策は、季節性インフルエンザの感染対策に準じるべきである。季節性インフルエンザと異なる点は、ワクチンがまだ利用可能でないこと、重症度や致死率がまだ確定的ではなく、今後変化する可能性のあること、などである。


【A】症例に対して医療従事者が最初に接する場所での感染対策

 
海外渡航などの疫学的リンクを疑わせる要因だけでは患者のリスク別振り分けができなくなってきた現状では、来院患者のインフルエンザ様症状に対するスクリーニングが重要となってくる。患者同士が待合室でうつしあったり、医療従事者が患者から伝播を受けたりするなどの事象を防ぐことが大切である。 CDCもWHOも、患者同士の間隔を確保する、咳エチケットを実施するなど、来院患者に関して新型インフルエンザA(H1N1)感染を明確に疑う前の予防策を強調している。各医療機関の状況に応じて、咳エチケットを実施するための資材(サージカルマスク、擦式手指消毒剤、ごみ箱など)を準備しておくことが望ましい。

 これらの病院区域において、常時サージカルマスクを着用することに関しては、エビデンスがないという指摘もある。しかしながら、新型インフルエンザA(H1N1)の主な感染経路である飛沫感染を防ぎ、また医療従事者自身が発症前日(=感染源となりうる)である可能性もふまえ、特に人と人が大勢出会う区域においてサージカルマスクをスタッフが常時着用することは意味があると考える。季節性インフルエンザの流行シーズンに、外来スタッフがサージカルマスクを着用し、手指衛生を頻回に行うなどの留意を行っている医療機関が多いが、それと同様の考え方で対処するのが適切であろう。

 その他の病院区域においても、季節性インフルエンザの流行シーズンに、スタッフがサージカルマスクを着用して勤務することもしばしば行われており、これも参考になろう。

なお、サージカルマスクを適切に着用する必要性は言うまでもない。マスクをかけていても鼻や口が出ているようであれば、感染予防効果は下がってくる。適切に着用することで予防効果が高くなることが期待できる。


 患者同士の距離があまり取れない場合、屋外に一時的に待合い施設を設けるのも一つの案である。屋外で過ごすのが不快でない季節であれば、屋外のオープンスペースを有効に活用する待合い場所も一案と考えられる。

これまでに述べてきたように、主たる感染経路は飛沫感染と考えられるが、とくに多くの患者が接触する部位では接触感染の要素が大きくなる可能性が考えられる。ドアノブ等の高頻度接触部位については、アルコール等を用いて適宜清拭を行うことで接触感染の機会を減らすことが期待できる。



【B】確定患者のケアを行う医療従事者のとるべき経路別予防策

 新型インフルエンザA(H1N1)の感染経路は、おそらく飛沫感染が主体であろうと考えられている。従って、患者ケアにあたる医療従事者や見舞いの者は、少なくとも飛沫予防策(=サージカルマスク)は必要である。目の防御は通常飛沫予防策には入れられないが、鳥インフルエンザA(H7)では鳥→ヒト感染の事例においてヒトが結膜から感染したことが示唆されている。したがって、飛沫を顔に浴びる可能性のあるような手技を行う際には目の防御を追加することを考慮する。

 WHOは、サージカルマスクと手指衛生を必須の要素としている。一方CDCは、N95あるいはそれと同等のもの (Powered Air-purifying Respirator, PAPR)、および手袋(未滅菌で可)とガウン、目の防御を推奨している。つまり、WHOは飛沫予防策のみ、CDCは接触・飛沫(目の防御を含む)・空気予防策のすべてをとることを最低基準としている。

 WHOのガイドラインは途上国でも適用可能なものとする必要があるため、このような内容となっていると考えられる。一方、CDCのガイドラインは、アメリカで通常行われている感染対策をベースに策定されたものである。ただし、CDCのガイドラインは流行の比較的早い段階で発表されたまま改訂されていないことに注意が必要である。


 まん延期の日本での経路別予防策は、途上国ほどではないにせよ、N95マスクが不足してくること、市中感染が発生している状況と医療機関において高度な感染対策を行っていることとのバランスの問題、から、通常のケアに従事するスタッフはN95による空気予防策を取る必要はなく、飛沫予防策と手指衛生を標準とすべきであろう。


【C】患者を収容する病室

 重症でない患者を収容する病室は、CDCもWHOも陰圧室が必要とは述べていない。従って日本でも、できれば個室、個室が足りなければインフルエンザの患者同士を同室に収容する(コホーティング)のが適切である。

 CDCは、エアロゾルを産生する気管挿管などの手技を行う際には、できる限り陰圧室で行うべき、としている。感染リスクの高い状況には、レベルの高い部屋を使用する、という極めて合理的な考え方である。これは理想的であるが、どの施設でもいくつかの陰圧個室を持っている米国の医療体制を踏まえた勧告と考えられる。これを日本に適用すると、陰圧室のない医療機関では重症の新型インフルエンザ患者を受け入れられないということになってしまう。新型インフルエンザA(H1N1)の空気感染の可能性、そのリスクと、市中感染が発生している状況を総合的に判断すると、手技を行う医療従事者がN95マスクを着用する以外の空気予防策は現実的ではないと考える。WHOのガイドラインに述べられている、発展途上国も意識した「適切な換気のできる個室」というのが、日本においても 現実的な解決策であると考える。

 感染対策を行う期間については、CDC、WHOとも発症から7日間を基本としている。症状の改善とともに感染性は下がっていくと想像されること、感染対策に伴う社会的な影響が大きいこともあり、この期間をできるだけ短くしたいとの要望があるのも確かである。CDCは自宅待機の場合、解熱してから24時間との基準を示している[7]。日本では、厚生労働省が、解熱してから2日間(または発症から7日間)との基準を示している[8]。これらには必ずしも十分なエビデンスが伴っているわけではなく、とくに入院例ではやはり7日間を基準として考えるのが望ましい。しかし、これらの基準を参考にしながら、症状や社会的な状況等をふまえて各医療機関で判断することは可能と思われる。

 医療従事者の健康管理も重要である。流行期間中は医療従事者の健康スクリーニングを行い、インフルエンザ様症状の者がいないか把握する必要がある。症状がある場合にそれを申告しやすいような雰囲気を作ることも大切である。有症状者は職場を離れ、自宅で過ごすことが望ましい。また、感染した場合に重症化のリスクが高いと考えられる医療従事者については、感染対策の手技をきちんと行ってもらうのはもちろんであるが、一時的な配置転換で感染リスクを低くする等の工夫も検討する必要がある。医療従事者に対する抗インフルエンザ薬の予防投与については、流行状況や曝露の状況等をふまえて検討することが望まれる。

医療機関内の清掃、洗浄・消毒、衣類やリネンの取り扱いなどファシリティー面については、新型インフルエンザA(H1N1)として特別な対応を取る必要はない。日頃から行っている方法を確実に行うことが重要と思われ、各医療機関で関係者同士のコミュニケーションをとることが重要である。


[1] Fraser C, et al.  Pandemic potential of a strain of influenza A (H1N1): early findings Science Express  May 11, 2009

[2]  Olofsson S, et al.  Avian influenza and sialic acid receptors: more than meets the eye?  Lancet Infect Dis 2005;5:184-188

[3]  Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus Investigation Team.  Emergence of a novel swine-origin influenza A (H1N1) virus in humans.  N Engl J Med 2009;361  published online, May 7, 2009)

[4] 「医療施設等における感染対策ガイドライン」(新型インフルエンザ専門家会議、平成19年3月26日)(PDF)

 [5]CDC:医療機関におけるブタインフルエンザA(H1N1)感染が確認された患者または疑わしい患者のケアにおける感染制御・暫定的手引き
http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidelines_infection_control.htm (原文)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009cdc/CDC_infection_control.html(日本語訳)

[6]WHO:A(H1N1)ブタインフルエンザの確認されたあるいは疑わしい患者のケアを行う医療施設における感染制御と対策・暫定的手引き(2009年4月29日発表、6月25日改訂版発表)
http://www.who.int/csr/resources/publications/swineflu/swineinfinfcont/en/index.html (原文)
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/2009who/09who41.html(日本語訳)

[7]CDC: Interim Guidance for Novel H1N1 Flu (Swine Flu): Taking Care of a Sick Person in Your Home (2009年8月5日発表)
http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidance_homecare.htm

[8]厚生労働省「「インフルエンザかな?」症状がある方々へ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_what.html#inful_07 





(2009/9/1 IDSC 更新)
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