国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



成田空港検疫所にて発見された新型インフルエンザの集団発生
−隔離と停留の対象者における疫学調査結果−(中間報告)

          
2009年5月22日 修正
2010年2月23日 修正

国立感染症研究所感染症情報センター
国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース


 
2009年4月24日に、大阪府立の3高校(A高校、B高校、B高校とする)より10名ずつ合計30名の生徒(2年生14人、3年生16人)、各高校2名ずつの教員、計36名は、市の交流事業(姉妹都市・姉妹校訪問プログラム)のため日本を発ちデトロイト経由でトロントにはいり、カナダのオンタリオ州において、ホームステイ、姉妹校での授業参加等の活動を行った。デトロイトを経由して5月8日に 帰国し、成田空港において実施された入国前の検疫により参加者のうち3名が新型インフルエンザの診断で感染症指定医療機関に隔離入院となった。残りの交流事業参加者33名とそれ以外の乗客14名と乗員2名は停留措置の対象となった。交流事業参加者の停留対象者1名も停留中に新型インフルエンザと診断され、別の感染症指定医療機関に隔離入院となった。

 厚生労働省の依頼に基づき、交流事業参加者等を対象として実施した疫学調査の結果(暫定版)は以下の通りである。なお、交流事業参加者以外で、新型インフルエンザが疑われる症状を呈した停留者はいなかった。症例定義は、交流事業参加者のうち、2009年4月24日から5月15日(カナダ時間:日本時間マイナス13時間)までの間に、38℃以上の発熱または急性呼吸器症状(鼻汁または鼻閉、咽頭痛、咳嗽、発熱または、熱感や悪感)のうち2つ以上認めたものを疑い例、疑い例のうち患者由来検体に対して成田空港検疫所もしくは千葉県衛生研究所、および国立感染症研究所において実施されたRT-PCR検査にて新型インフルエンザ陽性と判定されたものを確定例とした。この症例定義は、厚生労働省作成の新型インフルエンザの疑似症の症例定義を参考に作成した。なお、発症日は、疑い例の定義を満たした初日としたが、表示はカナダ時間とする。

 確定例は4例(生徒3名、教員1名)、疑い例は10名(生徒のみ)が探知され、確定例はすべてA高校所属であった。疑い例は、A高校4例、B高校3例、C高校3例であった。確定例の発症日は、5月5日〜8日であった。疑い例の発症日は、4月25日〜5月12日の期間にわたっていた。確定例はすべて38度以上の発熱と咳嗽を示し、うち3例はさらに鼻汁もしくは鼻閉、咽頭痛、関節痛等を示していた。1例が腹痛をしめしていたが、嘔吐、下痢等の腹部症状を示したものはいなかった。疑い例の一部は、RT-PCR検査が実施され、新型インフルエンザ陰性と判定されたようであるが、詳細な情報を得ていない。ただし、疑い例には、38℃以上の発熱を示した症例はいなかった。

 A高校から生徒10名(女性6名、男性4名)と教員2名(男性2名)が交流事業に参加していた。確定例の生徒3例(すべて男性)は当交流事業において一緒に行動する機会が多く、また確定例の教員は確定例生徒の現地での医療機関受診に同行していた。またA高校の疑い例の発症日は5月2日〜5月11日にわたっており確定例の発症日前後に集中していた。尚、確定症例の感染源は聞き取り調査では明らかなものは認めなかった。

 停留対象者は、停留期間中に新型インフルエンザの感染が確認されなかったため、5月16日まで(15日に47名、16日に1名)に停留解除となった。確定例4例は症状の軽快が確認され、2回のRT-PCR検査により他に感染させる恐れが無いと判断された5月19日までに全員が隔離解除となった。



(2010/2/24 IDSC 更新)
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