国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新8

          
2009年5月23日

国立感染症研究所 感染症情報センター

 WHOによると、2009年5月22日午前6時00分(世界標準時)現在、確定症例は世界42カ国から11,168例が報告されており、86例の死亡が報告されている。地域内伝播(疫学的リンクの切れた人-人感染)に関しては5月22日現在、メキシコ、米国の二カ国において確認されており、北米以外では地域内感染伝播はないと報告されている。ただし、100例を越えて確定例の報告のある国は、一覧表にあるように、日本を含め、カナダ、英国、スペインと4カ国に上っており、パナマは73例となっている。これらは、各国におけるサーベイランスの状況、軽症例における受診行動やサーベイランスにおける把握状況、あるいはその国の対策の方針にも依存するため、その国内地域ごとの状況を評価するのは容易ではない。

 日本国内では、本日正午の時点で、316例の確定例が報告されている(厚生労働省確認分)が、報告数は時間と共に変化している。発生が確認されている都府県は、兵庫県、大阪府、京都府、神奈川県、滋賀県、東京都であるが、それぞれの地域によって感染伝播の状況は異なる。また、現在の日本の交通状況を考えれば、早晩他の地域に伝播していくことは避けられない。一方、今後北半球は夏に向かって徐々に気温が上昇するが、1957年のアジアインフルエンザの経験をみれば、気温が高いことによって必ずしも流行が抑制されるとは限らない。もちろん、7月に日本に侵入が確認された、1968年の香港インフルエンザは、夏期にはほとんど広がっていない。これらのことを考えると、現状では、状況の把握を的確に行い、国民に情報提供していくことが必要不可欠だと考えられる。
 現在、国内では、一例の確定例もでていない地域、渡航者からの散発例の出ている地域、地域内での感染で散発例、あるいは集団発生のでている地域、より広範な感染伝播が疑われる地域が存在する。また、現在国内では依然として季節性インフルエンザの流行が、地域によって種々のレベルでみられている。日本の新型インフルエンザ対応行動計画によれば、日本における新型インフルエンザの発生段階は、1)第一段階、2)第二段階(国内発生初早期)、3)第三段階(感染拡大期、蔓延期、回復期)、4)第四段階(小康期)および再燃期に分類されており、これらは地域的に異なることが想定されるため、地域単位(都道府県レベル)で決定するものとされている。地域で限られた資源を有効に活用するためにも、その流行段階に応じて、状況の把握を行うための方法(サーベイランス)を弾力的に運用する必要がある。


(2009/5/23 IDSC 更新)

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