国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



パンデミックインフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新28

          
2009年12月18日

国立感染症研究所 感染症情報センター

国内の状況

1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は第50週(12月7日から12月13日)の1週間に131,972例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は27.39で49週(31.82)と比べて減少した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第50週(12月7日から12月13日)における患者数の推計は全国に約132万例であった。都道府県別では、インフルエンザの発生報告は6県を除いた都道府県で減少している。49週と比較した減少割合は大分県が31%(定点あたり54.69から37.83)で最も大きく、次いで香川県(30%;定点あたり40.38から28.15)、山口県(30%;定点あたり54.46から38.35)の順であった。26県(55%)で定点あたり報告数30.00以上である。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは宮崎県(55.51)、福井県(53.78)、山口県(39.59)の順である(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップを参照)。

  厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告の2009/2010年シーズン第7報によると、50週では全国で学級閉鎖学校数が6,661校、学年閉鎖学校数が2,434校、休校数が554校であった。前週と比べて学級閉鎖校数、学年閉鎖校数及び休校数の全てが2週連続で減少した。前シーズン(2008/2009年シーズン)との比較は高等学校の報告が本年21週より加わったり、自治体により学級閉鎖等の基準を前年と異なる対応等をしていたりするため、十分な考慮が必要である。


 

           図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告



2.  パンデミックインフルエンザによる入院患者数の概況等(厚生労働省発表資料参照

厚生労働省の公表によると、パンデミックインフルエンザによる入院患者数の報告数は12月9日から12月15日に520例の報告があった。入院した患者の年齢は5〜9歳が220人(42%)で最も多く、次いで1〜5歳未満132人(25%)、10〜14歳が54人(10%)の順であった。入院患者のうち急性脳症の罹患は13人(3%)、入院患者のうち人工呼吸器の利用は18人(3%)であった。12月15日までに入院した患者累計(7月28日時点で入院中の患者または7月29日以降に入院した患者の累計数)は12,923人となり、このうち基礎疾患を有する者4, 567人では、慢性呼吸器疾患が2,961人(65%)と最も多い。
  同期間における死亡者は12月15日現在で116人報告され、うち100人が入院患者、16人が入院患者以外である。死亡者(116人)のうち82人(71%)に基礎疾患があり、10人(9%)が感染症法に基づく急性脳炎としての届出があった。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。50週(12月7日から13日)の集団発生報告は医療機関が7施設、社会福祉施設が955施設であった。



3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)

  病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から50週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどがパンデミックインフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。



                 図2  週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数


世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新77を参照)

  北半球の温帯地域では、例年より早く訪れた冬のインフルエンザシーズンは中央ヨーロッパ、および東、南、一部の中央アジアで引き続き広がっている。北米や大部分の南部、および北部ヨーロッパでは、流行は極期を終え、病勢は次第に落ち着いてきている。アフリカでは、全地域からパンデミック(H1N1)2009ウイルスが検出されており、また季節性インフルエンザ(H3N2)ウイルスの流行も同時に起こっていることが証明されている。南半球の温帯地域では、パンデミックインフルエンザの活動はごくわずかしか報告されていない。



(2009/12/25 IDSC 更新)

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