国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新26

          
2009年12月10日

国立感染症研究所 感染症情報センター

国内の状況

1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にある。第48週(11月23日から11月29日)の1週間に190,801例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は39.63で47週(38.89)と比べて増加した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第48週(11月23日から11月29日)における患者数の推計は全国に約189万例であった。インフルエンザの発生報告は全国的に増加している。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは福井県(95.44)、大分県(75.22)、宮崎県(69.08)の順である。福井県は6保健所中5保健所(83%)で警報(定点あたり報告数30.00以上)レベルを超え、大分県は7保健所中7保健所(100%)で警報レベルを超え、宮崎県は8保健所中9保健所(89%)で警報レベルを超えている(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップを参照)。北海道は43週(61.43)をピークに減少傾向にある。秋田県は47週まで3週連続して減少傾向にあったが48週は増加した。福井県(95.44)の増加が著しく、47週(71.25)から1.3倍に増加した。東京都及び兵庫県が4週連続して緩やかな減少傾向にあり、新潟県、愛知県が3週連続して緩やかな減少傾向にある。

  厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告の2009/2010年シーズン第5報によると、48週では全国で学級閉鎖学校数が10,785校、学年閉鎖学校数が3,890校、休校数が981校であった。47週と比べて休校数は減少し、学級閉鎖校数と学年閉鎖校数は増加した。前シーズン(2008/2009年シーズン)との比較は高等学校の報告が本年21週より加わったり、自治体により学級閉鎖等の基準を前年と異なる対応等をしていたりするため、十分な考慮が必要である。


 

           図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告



2.  新型インフルエンザによる入院患者数の概況等(厚生労働省発表資料参照

厚生労働省の公表によると、新型インフルエンザによる入院患者数の報告数は11月25日から12月1日に721例の報告があった。入院した患者の年齢は5〜9歳が288人(40%)で最も多く、次いで1〜5歳未満163人(23%)、10〜14歳が102人(14%)の順であった。入院患者のうち急性脳症の罹患は25人(3%)、入院患者のうち人工呼吸器の利用は24人(3%)であった。12月1日までに入院した患者累計(7月28日時点で入院中の患者または7月29日以降に入院した患者の累計数)は10,487人となり、このうち基礎疾患を有する者3,697人では、慢性呼吸器疾患が2,451人(66%)と最も多い。
  同期間における死亡者は12月1日現在で85人報告され、うち72人が入院患者、13人が入院患者以外である。死亡者(85人)のうち59人(69%)に基礎疾患があり、9人(11%)が感染症法に基づく急性脳炎としての届出があった。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。46週(11月23日から11月29日)の集団発生報告は医療機関が5施設、社会福祉施設が1,186施設であった。



3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)

  病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から48週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどが新型インフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。



                 図2  週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数


世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新75を参照)

  北半球の温帯地域では、冬のインフルエンザシーズンの到来が例年と比較し早く、引き続き北米、ヨーロッパでは流行域が拡大している。しかし、北半球の一部地域では、流行のピークが過ぎた兆候を認めている。南半球の温帯地域では、パンデミックインフルエンザの流行はほとんど報告されていない。WHO では、おおよそ8千万ドーズのパンデミックインフルエンザワクチンが出荷され、約6千5百万人が接種したと推測している。現在のところ季節性インフルエンザの安全性と同等であるという結果を得ている。



(2009/12/11 IDSC 更新)

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