国内の状況
1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)
感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第46週(11月9日から11月15日)の1週間に169,095例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は35.15で45週(32.76)と比べて増加した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第46週(11月9日から11月15日)における患者数の推計は全国に約164万例であった。インフルエンザの発生報告は全国的に増加している。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは愛知県(58.70)、大分県(53.64)、石川県(49.77)の順である。愛知県は31保健所中22保健所(71%)で警報(定点あたり報告数30.00以上)レベルを超え、大分県は7保健所中7保健所(100%)で警報レベルを超え、石川県は5保健所中4保健所(80%)で警報レベルを超えている(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップを参照)。
厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告の2009/2010年シーズン第三報によると、46週では全国で学級閉鎖学校数が12,356校、学年閉鎖学校数が3,975校、休校数が879校であった。休校数が減少し、学級閉鎖、学年閉鎖または休校のいずれかの措置を実施した学校数が増加した。学級閉鎖学校数の増加が学年閉鎖学校数及び休校数と比べて顕著に増加していた。前シーズン(2008/2009年シーズン)との比較は高等学校の報告が本年21週より加わったり、自治体により学級閉鎖等の基準を前年と異なる対応等をしていたりするため、十分な考慮が必要である。
図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告
2. 新型インフルエンザによる入院患者数の概況等(厚生労働省発表資料参照)
厚生労働省の公表によると、新型インフルエンザによる入院患者数の報告数は11月11日から11月17日に724例の報告があった。入院した患者の年齢は5〜9歳が338人(47%)で最も多く、次いで1〜5歳未満143人(20%)、10〜14歳が106人(15%)の順であった。入院患者のうち急性脳症の罹患は22人(3%)、入院患者のうち人工呼吸器の利用は24人(3%)であった。11月17日までに入院した患者累計(7月28日時点で入院中の患者または7月29日以降に入院した患者の累計数)は7,708人となり、このうち基礎疾患を有する者2,755人では、慢性呼吸器疾患が1,865人(68%)と最も多い。
同期間における死亡者は11月17日現在で65人報告され、うち55人が入院患者、10人が入院患者以外である。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。46週(11月9日から11月15日)の集団発生報告は医療機関が3施設、社会福祉施設が869施設であった。
3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)
病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から46週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどが新型インフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。
図2 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数
世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新74を参照)
インフルエンザシーズンが今年は北半球で非常に早く始まり、北米ではすでにピークに達した兆候が見られるが、ヨーロッパのほとんどの地域、中央アジア、東アジアでは、徐々に増加している。南半球の温帯地域では、この数週間パンデミックインフルエンザの流行に関するレポートは少ない。特記すべき点としては、アルゼンチンの首都周辺でパンデミックインフルエンザの集団発生が報告されている。
(2009/12/2 IDSC 更新)
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