国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新23

          
2009年11月17日

国立感染症研究所 感染症情報センター

国内の状況

1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第45週(11月2日から11月8日)の1週間に157,626例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は32.76で44週(33.28)と比べてやや減少した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第45週11月2日から11月8日)における患者数の推計は全国に約153万例であった。インフルエンザの発生報告は全国的に増加している。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは愛知県(53.19)、秋田県(50.64)、滋賀県(50.06)の順である。愛知県は31保健所中22保健所(71%)で警報(定点あたり報告数30.00以上)レベルを超え、秋田県は9保健所中8保健所(89%)で警報レベルを超え、福井県は6保健所中2保健所(33%)で警報レベルを超えている(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップhttps://nesid3g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/index.htmlを参照)。

 厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/infreport/report.html)の2009/2010年シーズン第二報によると、45週では全国で学級閉鎖学校数が10,766校、学年閉鎖学校数が3,406校、休校数が977校であった。休校数がわずかに増加したものの、学級閉鎖、学年閉鎖または休校のいずれかの措置を実施した学校数が28週以降で初めて減少した。学級閉鎖学校数の増加が学年閉鎖学校数及び休校数と比べて顕著に増加していた。前シーズン(2008/2009年シーズン)との比較は高等学校の報告が本年21週より加わったり、自治体により学級閉鎖等の基準を前年と異なる対応等をしていたりするため、十分な考慮が必要である。


 

           図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告



2.  新型インフルエンザによる入院患者数の概況等(厚生労働省発表資料参照

厚生労働省の公表によると、新型インフルエンザによる入院患者数の報告数は11月4日から11月10日に750例の報告があった。入院した患者の年齢は5〜9歳が370人(49%)で最も多く、次いで1〜5歳未満161人(21%)、10〜14歳が114人(15%)の順であった。入院患者のうち急性脳症の罹患は23人(3%)、入院患者のうち人工呼吸器の利用は15人(2%)であった。11月11日までに入院した患者累計は6,300人となり、このうち基礎疾患を有する者2,254人では、慢性呼吸器疾患が1,515人(67%)と最も多い。

 死亡者は11月10日の時点で57人報告され、うち47人が入院患者、10人が入院患者以外である。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。45週(11月2日から11月8日)の集団発生報告は医療機関が2施設、社会福祉施設が678施設であった。

 
3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)

 病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から45週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどが新型インフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。



                 図2  週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数


世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新73を参照)

北米大陸では、激しく、また継続したインフルエンザの伝播が報告されているが、まだピークに達している証拠は無い。ヨーロッパ、中央及び西アジアでは、パンデミックインフルエンザの流行は、多くの国々のいたるところで継続して活発化しており、冬季インフルエンザシーズンの異常に早い始まりを示している。北および東ヨーロッパ(ウクライナおよびベラルーシを含む)、および東部ロシアのいたるところで、パンデミックインフルエンザの増加と活発なウイルス伝播が明らかである。



(2009/11/17 IDSC 更新)

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