国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ



新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況−更新20

          
2009年10月29日

国立感染症研究所 感染症情報センター

国内の状況

1. 定点サーベイランスによる現状とインフルエンザ様疾患発生報告(図1)

 感染症発生動向調査によるインフルエンザの報告は増加傾向にあり、第42週(10月12日から18日)の1週間に84,976例で、定点あたりの報告数(1週間の1医療機関当たりへの受診患者数)は17.65で41週(12.92)と比べて増加した(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/01flu.html)。この報告に基づいた第42週10月12日から18日)における患者数の推計は全国に約83万例であった。インフルエンザの発生報告は全国的に増加している。都道府県別で定点あたりの発生報告が大きいのは北海道(57.93)、愛知県(31.78)、福岡県(29.08)の順である。北海道は全体で警報(定点あたり報告数30.00以上)レベルとなり、30保健所中23保健所(77%)で警報レベルを超え、4保健所(13%)で注意報(定点あたり報告数10.00以上)を超えている(詳しくはインフルエンザ流行レベルマップを参照)。
 厚生労働省結核感染症課が取りまとめているインフルエンザ様疾患発生報告(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/infreport/report.html)によると、42週では全国で学級閉鎖学校数が5,864校、学年閉鎖学校数が2,051校、休校数が619校であった。先週より、これらの合計数が2008/2009年シーズン(前シーズン)の報告数を超えているが、本年21週より高等学校の報告が加わり前シーズンとの比較には十分な考慮が必要である。



図1 インフルエンザ患者発生報告およびインフルエンザ様疾患患者発生報告


2. 新型インフルエンザによる入院患者数の概況

 厚生労働省の公表によると、新型インフルエンザによる入院患者数の報告数は10月14日から20日に445例の報告があった(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/rireki/090917-02.html)。また、クラスターサーベイランスは10月12日より厚生労働省の運用方法が変更された(通知参照)。運用にあたり、報告は医療機関および社会福祉施設等における集団発生報告となたった。42週(10月12日から18日)の集団発生報告は医療機関が1施設、社会福祉施設が2106施設であった(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/rireki/091022-01.html)。


3. インフルエンザウイルス分離・検出状況(図2)

 病原微生物検出情報によると、全国で2009年19週から42週までに採取された検体から分離・検出されたインフルエンザウイルスの型・亜型別内訳では、ほとんどが新型インフルエンザウイルスAH1pdmである(図2)。


図2  週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数


世界の状況
(詳細はWHO:パンデミック(H1N1)2009-更新71を参照)

 モンゴル、ルワンダ、サオトメとプリンシプルが初めてパンデミックインフルエンザの患者を報告した。アイスランド、スーダン、トリニダド・トーゴが最初の死亡者を報告した。北米では、アメリカにおけるインフルエンザ様疾患(ILI)の発症率が例年に比べはるかに高く、提出される検体のうち、パンデミックH1N1 2009ウイルスの占める割合も高くなっている。カナダも4週連続でILI発症率が上昇している。メキシコも国の一部の地域でインフルエンザの感染が拡大している。ヨーロッパの国々では、インフルエンザの流行は低いが、ベルギー、イスラエル、オランダ、ノルウェー、イギリスの一部ではILI/ARIの割合が例年より高い。東欧と北アジア地域では呼吸器疾患が多くなっているが、例年のインフルエンザシーズンのレベルにまでは達していない。アジア地域におけるインフルエンザA(H3N2)の割合は、東アジア地域を除き、パンデミックH1N1 2009ウイルスの検出数の増加に伴って減少している。熱帯地域では、発症率は一部の地域を除き減少傾向にある。


(2009/10/29 IDSC 更新)

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