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高病原性鳥インフルエンザ



新型H1N1インフルエンザの死後のケアと安全な剖検手技

      アメリカ東部時間2009年5月28日午後4時30分 
               CDC(原文



 この文書におけるガイダンスは、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスについて現時点で分かっていることを反映している。追加情報が利用可能になった時点で、本ガイダンスは更新されうる。


目的新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染伝播予防のための、剖検中の遺体の安全な取り扱い方法。


活動
死者の搬送

 遺体が搬送容器内に確実に収納されている時は、死者の搬送に対する追加的防御を必要としない。手指衛生は搬送終了後に行うべきである。

 死者を扱う時、剖検に向けて遺体を整える時、あるいは死体安置サービスへの搬送時に、標準予防策を用いるべきである。

 標準予防策を使用し、適切な個人防護具(PPE)(例、ガウン、グローブ、マスク及び/または目の防護)の使用が推奨される。PPEを外した後に、手指衛生を実施すべきである。


医療機関での死者と家族の接触

 
新型インフルエンザA(H1N1)の確定、疑いが濃厚、または疑わしい症例の死者に対しては、医療機関における体への接触を近親の家族に限定することを考慮する。死体への直接接触は避けた方がよい、どうしても接触する場合もあると思われ、その場合は接触後直ちに手を石鹸と水でよく洗うこと。


剖検方法

 
一般的に、標準予防策を使用すべきであり、新型インフルエンザウイルスに感染が持続していた人に対する安全な手順は、いかなる剖検手技でも用いられる方法と一致させるべきである。しかしながら、エアロゾルを発生させる剖検手技(例、振動のこぎりの使用)の間は、追加的呼吸器防護が必要である。死後の検査に加わる人員の数を最小限にするのが賢明である。


個人防護具(PPE)

  • 剖検の標準的なPPEを着用すること:PPEには、手術着の上に不浸透性ガウンまたはエプロン、眼の防護(ゴーグル、フェイスシールドなど)、破けにくい合成繊維メッシュ手袋をはさんで2枚重ねの手術用手袋、サージカルマスクまたはN95マスク、シューズカバーなどが含まれる。
  • エアロゾルが発生する可能性のある場合は、呼吸器の防護を追加すること。これは使い捨ての微粒子用マスクのN-95またはN-100か電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR: powered air purifying respirator)などが該当する。顔のひげあるいは他に着用に制限がある理由で使い捨ての微粒子用マスクを着用できない剖検実施者は緩いPAPR(例、ヘルメット型またはフード型)を着用すべきである。
  • 解剖室を離れる前に施設の方針や手続きに従ってPPEを外しなさい。



工学的制御

  • 可能ならいつでも、新型インフルエンザA(H1N1)に感染した人の遺体に対する剖検を、適切な空調システムをもつ剖検施設で実施する。このシステムは1時間当たり最低6回(古い設備)から12回(新しい設備)の換気、空気感染隔離室(airborne infection isolation rooms, AIIRs)で推奨されるような隣接地域に対する相対的な陰圧、そして外への直接排気あるいは空気が再循環する場合にはHEPAフィルター中を通した排気などである。剖検台周辺の排気システムは、医療従事者が剖検を実施している場所から空気(及びエアロゾル)の流れを避けるように管理すべきである(例、下向きの排出)。剖検に関して局所的な気流のコントロール(例、層流システム)はエアロゾルを人から遠ざかる方向に向けるために使用することができる。しかしながら、この安全機能は適切なPPEの必要性を排除するものではない。
  • 可能であるときはいつでも封じ込め装置を利用する。細かい検体の取り扱い及び検査に対しては、バイオセーフティーキャビネットを利用する。可能な時には、エアロゾルを封じ込め周囲の環境空気中に排出される量を減らすために、振動のこぎりに対してvacuum shroud(吸引するための被覆装置)を使う。
  • 剖検実施領域を離れる時に、剖検室前室の中、あるいは前室がないときは入口のすぐ内側で、外に着用する予防衣を外し、適切な洗濯用または廃棄物容器へ入れるべきである。PPEを外したのちに直ちに手指衛生をおこなうことが勧められる。



経皮的な損傷の予防

  • 剖検中は経皮的な損傷を予防するための標準的な安全手順に従う。



 


(2009/6/5 IDSC 更新)

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