国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ


インフルエンザ様疾患患者の隔離期間に関する推奨

2009年8月5日
CDC(原文



CDCは、インフルエンザ様症状のある人は、体温が37.8度以下になってから、あるいは解熱剤を使用せずに熱感が無くなってから自宅に24時間経過するまで自宅にとどまるように推奨する。

これは、以前に出されていた、「症状出現後7日間、あるいは症状が消失してから24時間のいずれか長い方の期間、自宅待機すること」という推奨からの変更である。この新しい推奨は、ほとんどの人がインフルエンザの合併症のハイリスク群に属さないキャンプ、学校、会社、集会、その他多数の人が集う環境に適用される。医療機関に関しては、この新しい推奨は適応されず、今までと同様に、症状出現後7日間、あるいは症状が消失するまでのいずれか長い方の期間隔離することを推奨する。(詳細、ならびに医療機関における最新の情報はhttp://www.cdc.gov/h1n1flu/guidelines_infection_control.htm参照のこと)。この一般社会での推奨の変更は、重症化や死亡例のリスクに関する疫学的情報や、インフルエンザに罹患した場合の重症化のリスクと罹患した人を隔離することによる感染伝播の減少を社会機能の混乱を最小限に留めることを念頭に比較した上での決定である。この推奨は、さらに情報が得られれば、変更することがある。


隔離期間の延長の決定は、地方自治体、及び州の保健局が合同でそれぞれの地域で行なうべきである。より厳しいガイドラインの設定や長い期間の隔離−例えば症状が完全に消失するまでの隔離−は、罹患者が多くのハイリスクの人に接する可能性がある場合−例えば喘息児のキャンプや5歳未満の小児の育児施設−に考慮されるべきである。インフルエンザ合併症のハイリスク群は5歳未満の小児、65歳以上の高齢者、長期間アスピリンによる治療を受け、インフルエンザに罹患することにより、ライ症候群を発症する危険性のある小児や若者(18歳未満)、妊婦、以下の疾患を基礎疾患に持つ小児や成人;喘息、慢性肺疾患、循環器系疾患、肝疾患、血液疾患、神経疾患、神経筋疾患、糖尿病などの代謝疾患、治療による副作用や、HIV感染が原因の人を含め免疫抑制状態にある小児や成人、養護施設や長期療養型施設の入居者である。

2009年春に集められた疫学情報によると、インフルエンザ(H1N1)2009に感染して入院しなかったほとんどの人は、最低2−4日間発熱していた。この情報に基づくと、ほとんどの症例で少なくとも3−5日は隔離が必要となる。重症化した例では、より長い期間発熱していた。発熱はインフルエンザ様疾患の定義の1項目であるが、2009年春に集められた疫学的情報では、インフルエンザ(H1N1)2009に感染した人のうち、少数の人は発熱を認めなかったことが明らかになっている。

症状のある人は、医療機関を受診しなくてはならない場合を除き、できる限り隔離期間が終わるまで自宅に待機すべきである。また、他人との接触は避けるべきである。熱が高いほどインフルエンザウイルスは排泄されることが知られており、したがって熱のある人を自宅にとどめることは、感染者を減らすことに寄与する。CDCは、患者が抗ウイルス薬を処方されている、いないに関わらず、この隔離期間を推奨する。抗ウイルス薬を処方されている人は、抗ウイルス薬耐性のウイルスを排泄する可能性がある。

インフルエンザに罹患した多くの人が、解熱後24時間はインフルエンザウイルスを排泄し続けるが、発熱時よりはその程度は低い。RT-PCRによる検査結果によると、いくつかの症例では、インフルエンザウイルスの排泄は10日以上経過しても起こっていることがわかっている。したがって、インフルエンザ様症状があった人が、職場、学校、そのほか社会環境へ復帰する場合、咳エチケット、手指衛生に努め、インフルエンザ罹患により合併症を発症する危険性が高い人との接触を避けるべきである。ある人は症状出現前にウイルスを排泄し、またある人はインフルエンザに罹患しても発熱しないことから、全員が咳をする時には口を覆い、手洗いをこまめにすることが大切である。抗ウイルス薬耐性ウイルスの拡散の可能性をより少なくするため、抗ウイルス薬服用者は、他の人と同様に咳エチケットの手指衛生の厳守することが大切である。

アセトアミノフェンやイブプロフェンなどを含む解熱剤は、インフルエンザ様疾患のある人に使用可能である。アスピリン(アセチルサリチル酸)はインフルエンザに罹患している小児や若者に投与すべきではない。なぜなら稀ではあるが、ライ症候群と呼ばれる重篤な疾患を引き起こす可能性があるからである。学校、職場、そのほか社会への復帰の決定は、罹患者の体温が解熱剤を使用せずに正常に回復してから少なくとも24時間経過してから行なわれるべきである。


(2009/9/29 IDSC 更新)


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