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2003/7/3
旅行勧告と地域内伝播がある地域の時系列表
当初からWHOのSARS対応の目的は、この疾患が新たなヒト宿主の間で定着する機会を完全に封じることであった。ヒト間での感染伝播を途絶させることは、これを達成する途上のひとつの一里塚となる。 しかしながら現時点では、ウイルスの起源とその季節的流行の可能性についての疑問が残っているため、科学者たちはSARSが消滅したと保証することはできない。これに加え、世界のどこかで、検知できない様な低い程度の伝播が起こっている可能性がある。 WHOの目的に沿って、特定の地域への旅行の延期勧告がその時々に発令されてきた。SARSが、地域内伝播がある地域から輸出されたという事実は、さらに国際的拡大に影響し、隔離や感染制御対策、接触者追跡調査、検疫に多大な負担を掛けることになるため、特に問題であった。 「最近の地域内伝播」がある地域の一覧表は当初、SARS患者との密接な接触歴が影響する、「疑い例」と「可能性例」の症例定義を支援するために作成された。症例定義の適用には、どの地域にウイルスが広がっているかを知る必要があった。このリストへの掲載は、更に国際的に広がることを防止するために行う、出国する旅行客すべてに対する現行のスクリーニングの勧告の根拠ともなっていた。 3月12日:WHOは病院職員の間に急速に広がりつつある、非定型肺炎の症例に関する最初の世界的警報を発令。 3月15日:WHOは最初の緊急旅行勧告を発令し、すべての旅行者が、SARSの主要な症状と徴候に注意をするように呼びかける。この疾患は、航空機による国際航路に沿って拡大しているようにみえる。 3月24日:香港の当局者が、2つのフライトで共に旅行したひとつのツアー・グループ参加者の中から9例の非定型肺炎の症例を報告し、航空機内感染の可能性が持ち上がる。これに続く調査により、3月15日の香港から北京へのフライトに搭乗したひとりの乗客が、22人の同乗者と2人の客室乗務員へ感染を広げたことが判明した。 3月25日:WHOは旅行者に警戒を続けるよう指摘したが、いかなる渡航先に対しても渡航制限の必要はないと考えた。ほとんどの新規症例は速やかに検知され、直ちに隔離されており、医療施設の様な限られた環境以外では感染伝播の機会は減らされていた。 3月27日:WHOは、地域内での連鎖が成立し、感染が広がっていることが分かっている地域から出国する航空機搭乗客に対して、出国時スクリーニングを行うよう勧告した。この日以降、機内での伝播が疑われる症例は報告されていない。 3月31日:ほぼ同時に発症した症例の大きな集積群が、香港の淘大花園(アモイ・ガーデン)集合住宅団地で発生し、環境内に感染源が有る可能性が持ち上がり、また、SARSが病院環境から広い意味での一般社会へと拡大したことを示す、強力な証拠である。これに加え、いくつもの地域で、輸入初発例が広東省か香港への旅行歴と結びつけられた。これらの出来事が、最初の旅行勧告を出す下地を作った。 旅行勧告(「どうしても必要な旅行」以外の渡航の延期) [日本語] 4月2日:中国の香港と広東省に発令 4月23日:中国の北京、山西省とカナダのトロントに発令 4月30日:トロントに対しては解除 5月8日:中国の天津、内蒙古と台湾の台北に発令 5月17日:中国の河北省に発令 5月21日:台湾全土に対し発令 5月23日:香港と広東省については解除 6月13日:中国の河北省、内蒙古、山西省、天津については解除 6月17日:台湾に対しては解除 6月24日:北京が解除となる―表上に掲載されていた最後の地域 3月22日:初期の一覧表にはトロント、中国本土の一部、香港、台湾、シンガポール、ベトナムが含まれている 4月11日:北京が追加 4月28日:ベトナムが削除―SARSの集団発生を封じ込めた最初の国となる 5月1日:モンゴルが追加 5月7日:フィリピンが追加 5月9日:モンゴルが削除 5月14日:トロントが削除 5月20日:フィリピンが削除 5月26日:トロントが再び追加 5月31日:シンガポールが削除 6月13日:広東、河北、湖北、内蒙古、吉林、江蘇、陜西、山西、天津(中国)が削除 6月23日:香港が削除 6月24日:北京が削除 7月1日:トロントと台湾のみが掲載 ---------------------------------------- |
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