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2003/6/18



WHOの海外旅行に関する対策
(6月17日7訂*)

 

* 下線部のみ改訂しています


旅行者に対する勧告
SARSを心配している海外旅行者は、SARSの主要な症状である、高熱(38℃以上、華氏100.4℃以上)、乾性咳嗽、息切れまたは呼吸困難に十分気をつけることが最も重要である。これらの症状があり、SARSの「最近の地域内伝播」が見られている地域に最近10日のあいだに滞在した者は、医療機関を受診するよう勧める。(「伝播確認地域」/「最近の地域内伝播」が疑われる地域を参照)

WHOは現在、SARSの予防法のひとつとして、中国の北京への旅行は、どうしても必要な場合以外は延期することを勧告している。この勧告は暫定的なものであり、SARSの集団発生の状況の変化に応じて毎日再検討され(Travel−旅行勧告, 旅行勧告の変更参照)、またこれらの地域の国際空港を単に乗り継ぎのために通過するだけの人には適用されない。WHOはこれ以外の地域への旅行制限は勧奨しない。

SARSの国際的拡大防止のためにWHOが勧奨する対策
SARSに対する有効な薬剤もワクチンも存在しないため、この疾患の制御は症例の迅速な診断と管理に懸かっている。これには、「疑い例」と「可能性例」の隔離とその密接な接触者の管理を含む適切な管理が含まれる(SARSの管理指針 参照)。大多数の国々ではこれらの対応により、輸入症例から他の人々への感染拡大を防いできている。

旅行者がSARSウイルスを新たな地域へ持ち込む危険性をさらに減らすために、地域内伝播の程度がBあるいはCに分類されている地域(「最近の地域内伝播」が疑われる地域参照)から出発する海外旅行者は、出発時にSARSの可能性についてスクリーニング(ふるいわけ)を受けなければならない。このスクリーニングは2、3の質問に答えることと、体温測定を含むことが考えられる。ひとつ以上のSARSの症状が有ることに加え、感染の機会があったか、熱があるか、あるいは明らかに具合が悪そうな旅行者は、医療関係者によって診察されなければならないし、回復するまで旅行を延期するよう助言される場合もある。

現時点ではWHOは、SARSの集団発生が報告されている地域から到着するいかなる物品、生産品、動物も、公衆衛生上のリスクを引き起こすとは考えていない。従って、この点に関する制限は勧告していない。(WHO加盟国へのSARS伝播確認地域から到着する物品および動物に関する情報を参照)

WHOは更に、「最近の地域内伝播」が疑われる地域から到着する人々も、上述したSARSの主要な症状に十分注意を払い、もしも感染が広がっている地域を離れてから10日以内に症状が現れた場合には、まず電話で連絡した上で医師の判断を仰ぐよう勧める。「可能性例」と接触のない健康な人々については、特別な対策は必要なく、まったく自由に通常の生活を送ってかまわない。「可能性例」と接触のあった人々は、最後の接触から10日間が経過して健康だとわかるまでは旅行すべきではない。以上の勧告にもかかわらず、「可能性例」の接触者が他の国へ旅行した場合には、その人は到着した国の保健当局によって自発的な隔離と積極的なサーベイランスによる監視下に置かれるべきである。(SARSの管理指針:接触者管理参照)。
 
各国がWHO勧告を基に、それぞれの国の実状に合わせて変更を加えていると考えられるので、旅行者には補足情報をかかりつけの医師やその国の保健衛生当局から得ることを勧める。多くの国の保健当局が、優れた情報の掲載されたウェブサイトを作成している。

入手可能なWHOの情報はすべてWHO SARS web site日本語:感染症情報センター)に掲示され、定期的に更新されている。

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