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2003/6/6

ガイドライン/その他 


感染防御マスクについて(案)


(感染症情報センター)


●医療関係者が着用するマスク

SARS「疑い例」「可能性例」の診察に当たる医療関係者の個人感染防御としてWHOが勧めるのは以下のものである。
   ・適切に呼吸器の防護が行えるマスク
   ・手袋(両手)
   ・眼の防御用具(ゴーグルなど)
   ・使い捨てガウン
   ・エプロン
   ・汚染除去可能な履物

WHOは、マスクについては米国の規格でN95より高性能であるマスクの着用を推奨している。一方、米国、カナダなど感染者の確認された地域においてはN95規格より上のマスクについて着用を義務付けてはいない。

 現在、飛沫感染が主たる感染経路であると考えられており、N95規格のマスクで十分であると考えられ、SARS患者の診察などに関わる医療関係者の個人的防御策としては、N95規格およびそれと同等のマスクの着用が望まれる。N95規格のマスクが入手できない場合には、下記の表を参考に工業用の防塵マスクでも対応可能である(下表参照)。なお、これらすべてが入手できない場合には、サージカルマスクの着用を検討する。サージカルマスクも飛沫による感染を十分防ぐことができ、香港でのSARSでの感染防御に有効であったことが報告されている。ただし、鼻の周りなどフィッティングが不十分であると、空気が多く漏れることがあるので注意を要する。すべてのマスクの着用においては確実なフィッティングが非常に大切である。再利用可能なフィルターなどについては、説明書の記載をまもり、これらマスクが汚染されないようにする。

また、過去の事例からもマスクの性能よりも、マスクの着用、ガウンなどの着脱などに関連した人のエラーを防止することが重要であり、特にSARS患者に対応する職員には、十分な教育や、労働条件などの面から十分な配慮が必要と思われる。

● 医療関係者以外のマスク着用

WHO西太平洋事務局および米国CDCは公衆の場でのマスクの着用は推奨していない。我が国においても、国内での感染が確認されておらず、SARSの感染予防としての健常者のマスクの着用は現在のところ必要ないと考えられる。

表:防塵マスクの規格 (下線の引かれたものは、N95マスクと同等かそれ以上の性能を持つもの。)

項目

日本

米国

欧州

試験粒子

S=塩化ナトリウム

N=塩化ナトリウム

S=塩化ナトリウム

L=フタル酸ジオクチル

P, R=フタル酸ジオクチル

SL=パラフィンオイル

試験流量

85LPM

85LPM

95LPM

 

規格と捕集効率

 

 

使い捨て式
DS1:80%
DS2:95%
DS3:99.9%

N95:95%
N99:99%
N100:99.97%

使い捨て式
FFP1S:80%
FFP2S:94%
FFP3S:99%

DL1:80%
DL2:95%
DL3:99.9%

R95:95%
R99:99%
R100:99.97%

FFP1SL:80%
FFP2SL:94%
FFP3SL:99%

取り替え式
RS1:80%
RS2:95%
RS3:99.9%

P95:95%
P99:99%
P100:99.97%

取り替え式
P1S:80%
P2S:94%
P3S:99%

RL1:80%
RL2:95%
RL3:99.9%

 

P1SL:80%
P2SL:94%
P3SL:99%

日本 D:使い捨て式防塵マスク R:取り替え式防塵マスク
米国 N:オイルミスト非対応 R:抗オイルミスト P:オイルミスト対応
欧州 FFR:使い捨て式防塵マスク EFR:取り替え式防塵マスク

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