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2003/6/2



SARSが疑われる患者へ
曝露した可能性のある人に
対するCDC暫定指針
(2003年5月7日発表)



現時点まで米国におけるSARS症例は、ほとんどが「最近の地域内伝播」があった地域からの輸入例であり、ごく限られた医療従事者の家族などの濃厚接触者に二次感染が報告されているに過ぎない。この指針は、医療従事者や輸入症例の家族などの密接な接触者以外の、感染につながる接触があったことが疑われる者を、臨床医が管理する際の参考とすることを目的として現在の知見に基づき作られている。


1.

SARSに曝露した可能性のある者は、曝露後10日間、発熱と呼吸器症状に十分な注意を払う必要がある(体温を一日に2回の測定を行うことなど)。この期間は、症状が無い限りは特に活動の制限を設ける必要は無く、就労、就学、保育、教会その他の公的場への参加から排除されてはならない

2.

SARSに曝露した可能性のある者は、発熱あるいは呼吸器症状が出現した場合には直ちに掛かりつけの医療機関へ届ける。受診をする際は、あらかじめ必ずSARS感染の可能性について連絡し、必要な院内感染防止対策をとれるようにする必要がある。

3.

SARSに曝露し、発熱あるいは呼吸器症状を発症した者は、以下の感染制御のための予防措置に従う必要がある。

 

自宅外での活動を制限し、就労、就学、保育、教会および公共の場などへの参加はしない(自宅隔離)。自宅内では感染の伝播の可能性を最小限に抑えるために感染防御対策をとり、一日2回の体温測定を継続する。
www.cdc.gov/ncidod/sars/ic-closecontacts.htm参照)

 

発症後72時間以内に症状が改善あるいは消失した場合は、地域の保健当局へ相談後、就労、就学、保育、教会および公共の場などへの復帰と自宅隔離を含む感染制御措置の中止が可能となる。

 

当初からあるいは経過観察中に、SARS「疑い例」の症例定義(発熱と呼吸器症状)に当てはまった者に対しては、呼吸器症状の改善を伴う解熱後、10日間まで(自宅隔離を含む)感染予防措置を継続する必要がある。

 

発症後72時間以内に病状が症例定義に当てはまるまで進展しなかったものの、発熱あるいは呼吸器症状が継続する場合、さらに72時間経過を見た上で、医療機関で診察を受ける必要がある。SARS「疑い例」の症例定義に当てはまる場合は上述のように対応する。依然症例定義を満たさない場合は、保健当局と診察した医師とに相談の上、(自宅隔離を含む)感染予防措置を中止することができる。このとき考慮するべき点は、考えられるSARSウイルスへの曝露がどのようなものであったか、日常生活および職場で他の人と、どのような接触があると考えられるか、他の診断に関する事実などが含まれる。

4.

当初からあるいは経過観察中に、SARS「疑い例」の症例定義(発熱と呼吸器症状)に当てはまった者、あるいは症例定義に当てはまるまで進展しなかったものの、発熱あるいは呼吸器症状が72時間を越えて継続する場合、SARSコロナウイルスの検査をする必要がある。

5.

SARSに曝露した可能性のある者が、職場、学校、保育所、教会や他の公共の場にいる際に発症していた場合は、その場にいた人たちへの情報提供と経過観察の対策の必要性から、地域の保健当局へ連絡しなければならない。


詳細は“Updated Interim Domestic Guidelines for Triage and Disposition of Patients Who May Have Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)”参照

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