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2003/6/2



医療施設における

SARS患者に曝露された
医療従事者に対する
CDC指針(抄訳)
(2003年5月20日発表)



SARS患者を診療する医療施設における医療従事者に対するサーベイランス

SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者のリストを作成

SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者が、患者やその感染性物質へ適切な感染防御対策なしに曝露した場合、あるいは高熱あるいは呼吸器症状などを訴えた場合の報告体制を指導

SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者の欠勤状況の把握と、保健当局への異常の報告


SARS患者に曝露された医療従事者が無症候の場合

1.

SARS患者から適切な予防対策なしのハイリスク曝露(エアゾールを生成する処置をしている間に、SARS患者と同じ部屋にいて、且つ推奨されている予防対策を取っていなかった場合)を受けた医療従事者は、曝露後10日間は、就業義務から除外されるべきである。就業義務から除外された医療従事者は、自宅隔離し、公共の場での活動を控えるべきである。

2.

SARS患者から上記以外のハイリスク曝露を受けた医療従事者は、就業義務から除外される必要がないが、曝露後10日間は、体温の測定を少なくとも日に2回、毎日測定したりなど、症状の積極的サーベイランス下に置かれる必要がある。

3.

SARS患者から曝露を受けた時に、推奨された予防対策を遵守していた医療従事者の場合は、曝露後10日間は少なくとも日に2回の体温の測定を行うなど、熱および呼吸器症状に気を付けるように指導を受ける必要がある。この10日間に感染対策の担当者は、当該職員に定期的に状況確認のための連絡を取る。


SARS患者に曝露された医療従事者が発症した場合

1.

SARS患者に曝露を受けた医療従事者が、曝露後10日以内に発熱または呼吸器症状を呈した場合は自宅隔離し、当該部署へその旨を報告しなければならない。就業中に発症した場合は、直ちに外科用マスクを着用し患者との接触がある施設内の領域を離れる必要がある。感染拡大を防ぐために必要な防御策をとりつつ、直ちに医療機関を受診しなければならないが、必ず受診に先立ちSARSの疑いがある旨受診機関へ連絡し、必要な感染拡大の防止策をとってもらう必要がある

2.

上記の医療従事者が自宅隔離中の、発症後72時間以内に症状が改善すれば、地域の感染対策の責任部署と相談の上、隔離を中断し職場復帰をすることができる。

3.

上記の医療従事者で自宅隔離中に、症状がSARS「疑い例」の症例定義(発熱且つ呼吸器症状)に合致するように進展した場合は、呼吸器症状の改善を伴うことを前提に、解熱後10日まで感染予防措置、すなわち自宅隔離を続けるべきである。

4.

上記の医療従事者で症状の進展はないものの、自宅隔離後72時間以後も症状が続く場合は、さらに72時間予防措置を続けた後、状態の如何にかかわらず医療機関で診断を受ける必要がある。もしこの経過中に病状がSARSの症例定義を満たした場合には、上述のように予防措置を継続する。症状の進展がなかった場合には、地域の保健当局と相談後、自宅隔離は中断することができる。

5.

SARS患者に曝露を受けた医療従事者で、曝露後10日以内に発熱または呼吸器症状を呈し、自宅隔離措置下で72時間の観察後、症状が進展しSARS「疑い例」の症例定義に合致した場合、または症例定義には合致しないが症状が継続している場合には、SARSコロナウイルスの検査を行うべきである。


防御対策無しの曝露の防止対策

SARS「疑い症例」の早期検知と隔離手法の再評価を行う

SARSの症状・徴候と推奨される感染防止法を全医療従事者へ周知させる

個人防御用具(PPE)の使用法を全医療従事者へ周知させる

エアロゾルを産生する手法をSARS症例に行う際の対応のCDCガイドラインを遵守する


SARS患者から曝露を受け発症している病院訪問者の管理
患者の家族などを含む濃厚接触者で、発熱や呼吸器症状を発症している者は、医療施設に立ち入らせるべきではない。そのためのスクリーニングの導入や、来訪者教育を行う必要がある。

詳細は“Interim Domestic Guidance for Management of Exposures to Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) for Health-Care Settings”参照

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