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2003/5/26

重症急性呼吸器症候群(SARS)−63



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(5月23日、更新第63報)


WHOの香港と広東省に対する旅行勧告の変更


WHO記者発表
本日より、WHOは中国の香港特別行政区と広東省に対する「どうしても必要な旅行」以外の旅行を延期するようにという勧告を解除する。

この香港と広東省に対する、「どうしても必要な旅行」以外の旅行を延期するようにという勧告は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の国際的拡大を防ぐために、4月2日に出された。WHOは、この地域における状況が今や著しく改善したため、勧告内容を変更する。

旅行の延期勧告は幾つかの要素を考慮に入れ発表される。これらの要件にはSARS「可能性例」の症例数の多さ、「最近の地域内伝播」の様式、輸出例が報告された最後の日付などが含まれる。

3月27日にWHOは、「最近の地域内伝播」がある地域*はすべて、確実にSARSの罹患者あるいはSARS症例の接触者が渡航しないように、出発する海外旅行者に全員に対してスクリーニングを行う必要があると勧告した。この勧告は引き続き、香港と広東省に対しても有効である。

「香港と広東省に対する旅行勧告を、5月23日金曜日をもって変更する。広東省は世界中で初めてSARSの症例が見られたところであるが、WHOと他の各国の協力と、地方および中国の保健当局の努力により、広東省と香港における集団発生の封じ込めができたことを喜んでいる」と、WHO事務総長Gro Harlem Brundtland博士は述べた。

香港では新規患者の3日間連続平均患者数が、この6日間5例未満で、集団発生は3月後半に新規症例のピークを見て以来一様に減少している。以前発症したSARS患者で、まだ回復途上である者や、他の病状の治療のために入院中の患者はいるが、SARSの感染性が依然あると考えられる人の総数は(全員入院中であるが)、60人を切った。最近20日間の間に発生した新しい症例はすべて、SARS患者の接触者として特定され、地域の保健当局による積極的サーベイランス下にあった人々であった。最近の、香港から海外への輸出症例の報告はない。

広東省では新規患者の3日間連続平均患者数が、11日間5例未満で、入院中のSARS患者数は5月20日に60例を下回った。省保健当局の努力により、最近数週間に地域内伝播の程度は低レベルへ落ちた。最近の、広東省から国外への輸出症例の報告はない。

WHOは、北京、河北省、内蒙古自治区、山西省、台湾、天津を含む、中国の他の地域への旅行勧告の見直しも行った。これらの地域への「どうしても必要な旅行」以外の延期を考慮するようにというWHOの勧告は引き続き適用される。WHOはこの旅行勧告を定期的に再検討する。

中国の多くの地域における集団発生は続いており、SARSを完全に封じ込めるための新しい各種資源の早急な投入と共に、集約的な努力を続けることを必要としている。

* BとCの様式で
パターンB:地域内で1世代を超えた感染(三次感染以上)によるSARS「可能性例」がみられるが、すべての症例がSARS「可能性例」の既知の接触者として、事前に確認され、経過観察下にあったものからの発症である場合

パターンC:「可能性例」との接触が確認されていない人々の間で、地域内での感染が疑われる「可能性例」が発生した場合

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