IDSC 緊急情報トップ >
 

 

2003/5/23

重症急性呼吸器症候群(SARS)



SARSウイルスの検出と水/食品中における生存に関する会議
Meeting on SARS virus detection and survival in food and water
(5月22日発表)


平成15年5月8日〜9日 マドリッド開催

SARSの世界的集団発生の調査の結果、SARSウイルスの主な感染経路は感染者との密接な接触であり、特に気道分泌物の飛沫への曝露である事が分かっている。

しかしながら、香港の集合住宅の一ブロックにおけるSARSの集積では、コロナウイルスを含んだ飛沫によって汚染された排水システムの汚水を介して感染拡大があったと考えられている。世界保健機関(WHO)はSARSコロナウイルスの汚水、糞便、食品、水を介した伝播様式をより確実に知るための研究の必要性を感じている。経口感染の可能性も、患者との密接な直接接触の感染経路と共に考慮に入れておかなければならない。

WHOは5月8日−9日の両日マドリッドで開かれた会議において、FAO(国連食糧農業機関)とOIE(国際獣疫局)と共同で、この研究課題を遂行する用意のある関連科学領域の専門家の1グループを組んだ。この目的は、SARSコロナウイルスの環境内での生存状況、特に食品、水、糞便、汚水などの中でどのように生き延びているかに関して更に理解することであった。結果として、このグループは我々のSARSの科学に関する集団的知見を統合し、この疾患が蔓延する事を防ごうとする世界規模の努力の一部として、研究ネットワークを構成して共同で研究することとなった。研究課題として挙げられているものには、環境内のウイルスの分離と定量の手法の標準化などが含まれている。

下水設備や汚水のみならず、食品や水の処理過程で見られる一般的状況下において、ウイルスの抵抗性、存在期間、不活化に関した研究についての提言も行われた。糞口感染に関した研究は、ウイルスがこの経路で感染伝播できるという証拠も疫学的示唆も無いので、本質的には用心のために行われる。それにもかかわらず、研究ネットワークは将来の可能性のあるシナリオとそれに従って生じるであろう研究の必要性を見据えている。このネットワーク会議の最初の報告は直ぐにWHOウェブサイトから入手可能となる予定である。

平成15年4月11日に明確に提示したように、WHOは現時点では、SARSの地域内での伝播が認められている地域から送られてくる、どのような物品、製品、動物も公衆衛生上のリスクを引き起こすことは無いと考えている。また、積極的にSARS感染伝播を防ぐ事に関して研究し助言して行くために努力を続けている。WHOは、SARSの感染伝播がある国を含め全ての国々において、各国の衛生的食品生産手法が確実に取られるよう努力されていることを知っており、これを支援している。どのような感染症に置いても、疾患を積極的に評価することを含めた、食品関連就労者の衛生的手法を強化することは、重要な包括的予防的対策である。

----------------------------------------


 
  IDSCホームページへ