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2003/5/17



WHOによるSARSと血液の安全性確保のための指針
(5月15日)


これらの管理指針は新しい情報の入手に伴い、常に再検討され、最新のものに更新される。これは、各国の保健当局がそれぞれの国固有の状況に合わせた指針を創るための、包括的なたたき台とするために編纂されている。

不活化処理が適しない血液製剤の輸血や血液由来製品1 の使用によって感染し、SARS「可能性例」が発生したという報告は無いが、発症後約10日まで軽いウイルス血症がSARS「可能性例」の患者にみられることから、輸血によってSARSウイルスを伝播する理論的リスクがある(Identification of a Novel Coronavirus in Patients with Severe Acute Respiratory Syndrome 参照)。 

WHOの「血液の安全性確保および臨床技術」部(WHO/BCT)は、不活化処理が適しない血液製剤の輸血に伴う理論的なSARSのリスクに対する予防上の原則として、以下の提言を提案する。

これには以下を含む:

1.

下記の表区分に示した供血者の献血は延期する

2.

輸血サービス部門(BTSs)は血液を提供した供血者に対して、もしも献血後1ヶ月以内にSARSの「疑い例」あるいは「可能性例」と診断された場合には報告を求め、その時点で未使用の血液製剤は回収する

3.

輸血あるいは血液製剤の投与を受けた者を追跡する事ができるシステムと設備が現存する国々では、献血後1ヶ月以内にSARS「可能性例」の定義を満たした献血者からの血液および血液製剤の輸血を受けた者に対する経過観察を行う

この提言は、移植に用いる臓器、組織、細胞に関するスクリーニング基準の基盤とすることもできるが、特に「最近の地域内伝播」が報告された地域からの旅行者に対しては、これが予防的措置である事を考慮した上で、患者に対する移植の利益とのバランスをとって用いる必要がある。輸血サービス部門に係わるスタッフは、「医療従事者のためのSARS予防に関する提言」について、十分に気をつけていなくてはならない。


SARSの症例定義は、「重症急性呼吸器症候群(SARS)のサーベイランスのための症例定義」を参照する。

血漿由来製品の製造過程におけるウイルス不活化方法に関しては「viral inactivation procedures used in the manufacturing of plasma derived products」を参照する。


SARSに関する詳細はWHOのSARSウェブサイト日本語)を参照する。


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