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5/07/2003
香港:SARS制圧に向けた賞賛すべき前進、中国の状況 Yeoh博士の説明に続き、Heymann博士は、SARSの拡大を止めるために、香港で行われた努力についてあたかも‘英雄のように’説明し、さらに「あなた方と、あなた方のチームへの賞賛の言葉以外、我々は何も持ち合わせていない」と付け加えた。 香港で実施された方法の中で特に印象的であったのは、境界の検問所における出国時スクリーニング(ふるいわけ)、居住者からSARSの発生があった全ての建物に関する情報の提供、隔離と検疫の実施、厳格な接触者調査の再構築(これは当初、犯罪者調査のために警察の力によって開発されたシステムにより実施された)である。これらの中にはWHOの勧告以上のものもあった。 香港は本日9例(医療従事者2例と患者の接触者7例)の新たなSARSの症例を報告した。これにより、香港からの報告は1,646例の「可能性例」と193人の死亡例となった。 3月29日以来香港は、境界に体温測定器を備えた医療所を設置した。現在香港へ入る旅行者はすべて、健康証明書への署名が必要となっている。4月14日政府は、居住者に対し香港IDカード番号によるモニターにより、SARS患者の密接な接触者が香港を離れる事を禁止した。このようなルーチンのチェックの結果、37人が専門の医療機関受診を勧められ、これらの中の2人が後にSARSと判明した。 また香港は、接触者の追跡と、SARS患者の密接な接触者の住所と名前の確認にコンピュータシステムを採用している。SARS症例の地図上の集積や、特定の建物内のいわゆる‘ホットスポット(感染集積点)’はこの方法によって確認できる。政府は、SARSの症例及びその接触者に関して中央集中化されたデータベースに保存し続けている。 Yeoh博士は、本日、淘大花園(アモイガーデン)に関連した新規の症例が20日間起こらなかったことも発表した。香港は、最近SARSの認識を高めるための広報と教育キャンペーンを立ち上げた。これらの努力によって症状に気付いた人が迅速に医療機関を受診するようになり成功を収めている。また、迅速な対応がとれることから、人々がウイルスを伝播する期間を減少させ、地域に流行が拡大することを防ぐことにもなっている。 中国 本日中国は新たなSARS「可能性例」138例の報告をした。うち70例は北京からの報告である。報告総数は中国全体で4409例、北京から1960例である。8例の死亡例の報告が含まれており、その半数は北京での死亡例である。死亡例の総数は214例となった。 症例は首都以外で2つの最も重篤な感染が起こっている山西省と内モンゴル自治区で継続的に増加しており、それぞれ11例、21例の報告がある。総計はそれぞれ369例、251例である。 WHOの専門家が、中国衛生署とWHOの合同チームとして河北省に行き、SARSの現状把握とアウトブレイク対応の検討をする予定である。 5月8日にWHOの専門家4人が中国衛生署の専門家と共に、出稼ぎ労働者などの流入人口が集中する北京周辺地域を視察に行く予定である。 河北省のSARS「可能性例」はこの数日で急増し、本日までに総数113例となった。4月30日から5月4日の5日間で2倍の98例に増加した。また「疑い例」は100例である。 「我々は、この地域において調査チームが何らかの変化をもたらすことができると感じている。まだ流行の初期の段階であり、今の段階で我々が介入することにより、大規模なアウトブレイクの発生を防ぐことが出来るかもしれない。資源はまだ十分ではないものの、この地域の発展もまた平均水準以上のものであるので、いかなる勧告も早急に遂行できるだろう。」とWHO中国事務所から訪れているアラン・シュヌール氏は語った。 症例と各国の情報のUPDATE 今日までに、総計6727例の可能性例と478例の死亡例が29カ国から報告された。昨日より新規症例153例、死亡例17例が新たに加わった。本日コロンビアから1例目の「可能性例」の報告があった。インドからも本日「可能性例」の報告があった。 ---------------------------------------- |
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