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5/5/2003

重症急性呼吸器症候群(SARS)−46



WHOによる重症急性呼吸器症候群(SARS)
多国同時集団発生の報告
(5月3日、更新第46報)


WHOチームの台湾派遣と中国の状況


WHOが台湾へ調査チームを派遣
台湾でのSARS発生の拡大は先週著しく加速した。台湾は昨日、累積で100例のSARS「可能性例」を報告したが、これは過去10日間で症例数が約3倍になったことになる。集団発生が起こって以来、8例の死亡が発生している。

WHOチームは本日、保健当局のSARS集団発生対策を支援するため台北に到着した。このチームは疫学とウイルス学の専門家2人で、病院を訪れ、現地の保健当局と協議する予定である。集団発生が多くの病院スタッフへ影響を及ぼしていることから、主な焦点は感染制御対策の強化に必要な点の指摘に向けられる。WHOチームはまた台湾当局に対し、ウイルスの党内での拡散を阻止するための最良の対策について助言する予定である。

台湾の疾病対策センター(台湾CDC)は3月14日に、最初の一組のSARS「疑い例」2例を報告した。男性には2月に広東省と香港特別行政区への旅行歴があった。3月26日には、香港の淘大花園(アモイガーデン)に住む台湾人が伝統的なお祭りである清明(Qing Ming:民族掃墓節)を祝うために台湾へ戻り、台中(Taichung)への列車に乗車した。この男性の弟が、台湾で始めてのSARS死亡例となり、列車に同情した乗客もひとり発症した。4月16日には、27例の「可能性例」が台湾から報告されていた。各症例を調査した結果、すべての症例が伝播確認地域への旅行歴があるか、あるいは患者と密接な接触があったことが明らかになった。

4月の最終週になって症例数が着実に増加を始めた。2つの病院の複数のスタッフが感染した。4月28日には台湾政府が、中国、香港、シンガポール、マカオ、トロント(カナダ)から到着する旅行客・帰国者に対して14日間の強制的検疫を課した。

中国における状況
中国は本日、新たに181例のSARS「可能性例」を報告したが、このうち114例は北京からであった。この報告によって、中国の累積症例数は3,971例、首都では1,741例となった。9例の死亡例も報告されており、このうち5例が北京からであった。

新たなSARS「可能性例」は山西省(18例)、天津市(18例)、内蒙古自治区(10例)、河北省(9例)、広東省(11例)、寧夏(Ningxia)省(1例)からも報告された。天津市からの新しい症例のうち10例は医療従事者であった。

北京の症例のうち20%近くは病院勤務の医療従事者である。北京で本日報告された114例の新しい「可能性例」のうち、20例が医療従事者である。この数字は、病院内での厳格な感染制御対策の重要性と、現在北京で導入されている対策の強化の必要性を強調するものである。

今朝の時点で、首都北京では13,688人が検疫下にあった。検疫下に置かれている建物には、27のSARS指定病院、2つの建築現場(building site)、3つの大学に付属する集合住宅ビルがある。

患者情報と感染が報告された国に関する最新報告
本日までに27ヶ国から、累積で6,234例の「可能性例」と435例の死亡例が報告されている。これは昨日に比べ、さらに191例の症例と18例の死亡例の増加である。新たに中国から9例、香港特別行政区から9例の死亡例が報告されている。

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